空き家になった実家じまいを振り返って|する?しない?の決め手
ここでは3カ月でやり切った実家じまいを振り返り、実家じまいを「する?」「しない?」の決め手についてまとめました。
母が突然施設に入ったため当初は「実家を今後どうしていくのか」ということは全く考えたこともありませんでした。
なぜなら
施設の順番が意図せず早く回ってきたため何も考えていなかった
実家は母の持ち物でもあり自分の思い出もあるため手放す選択肢が全くなかった
施設から母が戻ってきて実家を利用することがあると思っていた
いずれ家で私がっ面倒を看ることがあるかもしれないと思っていた
「家の売却」について無知だった
現状維持が楽だったので実家じまいの行動を起こそうと思っていなかった
などその当時を振り返るとこういう様々な理由がありました。
端的に表現すれば、「親の介護」に不安もあり、それまでも対応にも疲弊していたため、何も考えたくない、変化したくない、面倒なので行動したくないというのが私の本当の理由だったかもしれません。
ではどこを境にして「実家じまい」へ向けて行動を始めたのかというと
母が施設に入所して、約2年が経過しようとしているとき「火災保険の更新」の手紙が届きました。
私たちの場合、それがきっかけでした(2021年を振り返っています。判断した内容などはその当時の状況です)。
【実家じまいの今までの記事】※下記リンク先はすべてサイト内部リンク
1.きっかけ
実家じまいをスタートすることになった大きなきっかけは「火災保険の更新」でした。
誰も住んでいない空き家になっている家については「それまで加入していた火災保険を更新することができない」と保険会社に言われたことです。
個人向け火災保険は居住用住宅のために用意されている火災保険なので、住んでいて管理されている住宅しか加入することができない
空き家用の火災保険の用意がないので他社をあたってほしい
万が一何かあった場合において、当然「居住していて火災が起きたのか」と調査するので、水道ガス電気などの使用状況などが調査の対象となる、その際に該当しなかった場合は保険料を納めていても保証することはできない
2023年現在空き家問題は深刻な社会問題として取り上げられていますが、2021年を振り返ってみると今より認知度が低かったような気がします。
母が施設入所してから、
近隣に迷惑をかけないように実家の周りに気を掛け
郵便物をこまめに取りに行ったり
庭の雑草が生い茂らないように草取りをしたり
業者に庭木の剪定を頼んだり
していました。
誰も住んでいなくても維持費用がかかり、実家を守る手間暇が掛かります。
固定資産税、上下水道、電気、ガス、電話代の基本料金も当然掛かります。
空き家が加入できる火災保険はありませんと言われてからはそれまで以上に気になり、誰もいない実家に通う頻度が多くなり、母の施設と実家通いで多くの時間を費やすようになりました。
例えこの先に戻る予定があっても、空き家になっている間は費用と手間と危機感(私が実家に関わっていない時間に何かあるかもしれない)を抱えていかなければなりません。
夜中に誰かが家に侵入したら
台風が来たら
動物が住みついたら
ゴミを投げ入れられたら
近所からの苦情があったら
火災が起き回りの家に延焼したら
考えればきりがありません。
2.選択肢
この先維持していくことと、実家じまいをすることを天秤にかけるために選択肢を洗い出して情報を収集し母に結論を出してもらおうと考えました。
何もしない、現状維持
私を含め家族の誰かが実家に移り住む
賃貸住宅にする
カフェや事務所にする
生前贈与してもらう
売却する
賃貸住宅にする場合、空き家管理をすべて任せて資産運用してくれる会社に現地で見積をしてもらいました。
相続について税理士事務所に私たちの場合何がいいのかアドバイスをもらいました。
不動産会社には売却にあたり注意しなければならない点を確認しました。
所在地の役所に空き家制度、補助金の有無について確認をしました。
税務署に何度も確認をしました。
施設にも住民票異動について確認しました。
施設スタッフさんに実家に戻って私が介護することができるのかということについて確認しました。
それぞれについて関係各所に問い合わせて情報を集めました。
例えば
その結果
賃貸管理を任せる場合について立地や建物の状況など毎月の利益が出ることもわかりました。
今の母にとって収入になる可能性があることに期待感を持ちました。
しかしながら
年間収入があるということは現在受けている税に基づいて判断されている公的サービスが受けられなくなること
契約者が母になる場合母の健康状態により契約更新ができていくかどうか不透明なこと
賃貸をすれば売却による控除が受けられないこと
控除を受ける期間が決まっていること
などマイナスな面も当然出てきました。
実家は母の持ち物なので私が収集した情報をわかりやすく母に伝え母自身に選択してもらうことにしました。
まとめ
「実家じまい」と一言で簡単に言えても大きな決断と覚悟を伴うものでした。
母と私が二人三脚で行った実家じまいを振り返って、空き家になった実家を「売る?」「売らない?」の決め手は何だったのかということを書き出しました。
母は自分が帰る場所がなくなるということ、家族で住んだ家をなくすということ、母自身が決めたことで私にいろいろとやってもらわないといけないことなど様々な葛藤があったと思います。
母が判断するまでに多くの時間がかかりました。
スタートしたら後戻りできなくなるので決定することの覚悟も行動したことでどんな結果も受け入れる覚悟も必要です。
最終的に母が判断したのは「このまま実家を維持し続けても管理費用がかかるし手間も心もかかる。それを自分でできるかと問われればできない。家に帰って過ごしたかったが病気で家に戻ることは不安が大きい。自分がこの先わからなくなって施設費用がかさんできた場合売却しようにもできないかもしれない。自分がしっかりしているときに自分で処分をするのが良いと思う。」
母は施設入所前までにできるだけ手を煩わさないようにとあらかじめやっておいてくれたことがあります。
施設入所前までに母があらかじめやっておいてくれて助かった9つのこと<内部リンク>
今回もそんな母らしい判断であり、費用面的にも税金的にもタイミング的にも実家じまいは私たちにとってベストだったと思っています。
実家じまいをしたことで実家の管理の煩わしいことも迷いもなくなり、母と一緒に難病に向き合うことができ専念できています。
情報を集めて理解することで複合的な要素を組み合わせて私たちに合った判断を行いました。
どれが正解でいつでも正解かと言われればわかりません。
母が「先を考えてどうするのがいいのか考えその時に選択したのだからこれが正解。ずっと正解。大変なことが多かっただろうけどやってくれてありがとう」と言ってくれたことをよく思い出します。
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