空き家になった実家じまいを振り返って|最後にやらないといけないこと
ここでは実家じまいを振り返り、3カ月でやり切った家中の荷物の片付け後にやるべきことを記録しています。
父は認知症(他界)、母は難病(大脳皮質基底核変性症)。
母は難病を患い施設に入所してから3年。
難病の経緯、闘病生活はこちら<内部リンク>
母の持ち物である実家は施設入所以来ずっと空き家になったまま。
その空き家になった実家をどうしていくのかを母と話し合い、メリットデメリットを十分に検討したうえで母の希望により実家じまい(実家終い)を私がすることになりました。
実家の状況は4LDKの築30年超、長年の荷物が家の中に詰まっていました。
これらをすべて黙々と片付け続け、家の中からどんどん荷物がなくなっていき最終的に何もない状態になりました。
「これでやっと終わった」と思いきや、「実家じまい完了!」と言うにはもう少しやるべきことがあります。
視点を家の中から外に向けます。
家と外部との関係性に目を向けます。
それらを片付ける作業を行った後に「実家じまい」は完了します。
1.ライフラインの解約
【電気工事】
電力会社の専用窓口に連絡します。
どうやって実家じまいをするか(売却なのか、賃貸にするのか、解体なのか等)によって電力会社が行う作業が異なります。
電気をいつまで必要とするのかの期日を決めます。
メーター及び引き込み線撤去作業が必要とのことでしたが、それまでに家を確認に来ます。
立ち合いは必要ありませんでした。
【ガス】
ガス会社の専用窓口に連絡します。
どうやって実家じまいをするか(売却なのか、賃貸にするのか、解体なのか等)によってガス会社が行う作業が異なります。
また都市ガスかプロパンガスかによって作業が異なります。
ガスをいつまで必要とするのかの期日を決めます。
ガス管の確認作業の立ち合いが必要でした。
境界でのガス管切断工事の立ち合いは不要でした。
【水道および下水】
上下水ともに役所の水道課窓口に連絡します。
どうやって実家じまいをするか(売却なのか、賃貸にするのか、解体なのか等)によって行う作業が異なります。
水道をいつまで必要とするのかの期日を決めます。
閉栓の立ち合いは必要ありませんでした。
浄化槽を使用している場合は浄化槽の清掃が必要となるようです。
【電話およびインターネット】
それぞれの窓口に連絡します。
引き込み線撤去の工事が必要となりますが、立ち合いは必要ありませんでした。
2.公的手続き(住民票、年金、後期高齢者医療制度、介護保険、障がい、指定難病)
母が利用している制度すべての住所変更を行わなければなりません。市役所の関係各所で手続きを行います。
母の代理で行うため母の委任状が必要になりました。
3.郵便物転送
母の代理で行うので窓口へ出向き用紙に必要な項目を記入し、求められる確認書類(対象者の本人確認と窓口に来た人の確認書類、保険証や運転免許証など)を提示して手続きが完了しました。
他の方法として、インターネットで行う場合、e-転居を利用できます。
まず郵便IDの登録を行うところからスタートします。
手続きを行う場合本人確認としてマイナンバーカードが必要です。
詳しくはこちら:e-転居について<外部リンク>
4.通帳等の住所変更届
窓口に出向いて住所変更の手続きを行いました。
通帳すべてに住所変更が必要です。
母の代理で行うため、母の委任状が必要となりました。
持参したものは通帳印。その他には新住所が記載された公的書類が本人確認のために必要となりました。
詳しくはこちら:通帳の住所変更を行う場合(ゆうちょ銀行)<外部リンク>
5.庭の片付け
「実家じまい」として家の中の荷物の片付けばかりに注力してきましたが、家の周辺の片付けをすっかりすっとばしていたことに気付き慌てました。
お隣さんとの境のゴミであったり、飾り物であったり、植木鉢、洗濯竿など。
プランターで花がきれいに咲いていたのでこれは「保管」に分類し私の家に持ち帰りました。
6.近隣への挨拶
実家じまいで家の荷物を片付けていると、近所の方が訪ねてきてくれました。
「あれ?お母さん戻ってくるの?」と。
実家じまいをすることを伝えると「さみしい」と言ってくださり、両親の昔の話をしてくれたり、両親のことをほめてくれたり。
実家じまいの最終日までに近隣の方々の家をまわりお礼と最後のお別れを伝えました。
両親たちがこの家を守りながら近隣の方々と関係良くしてきたことがわかりました。
私の知らない両親の姿を知ることもできました。
実家じまいには家を片付けるとともに実家の人間関係も片付けるということなんだな、と実際にやってみてわかったことです。
まとめ
実家じまいを自分で実践してみたからこそ見えてくることがたくさんありました。
想像以上の作業量や実家じまいをしなければ気付けなかった両親の想い、荷物ひとつをとっても私が両親の子どもという立ち位置では気付くことができなかった両親の生活スタイルや趣味や考え方など。
「実家じまい」をきっかけに私の中で両親のことが今まで以上に深く刻まれることになりました。
最初は「実家じまい=荷物の片付け」という単純な結びつけでしたが、やればやるほど、進めば進むほど、ひとことで簡単に片付けてしまうことができるほど軽いものではありませんでした。
実家を片付けていると近所の人がひょっこり訪ねてきて両親との思い出話をしてくれたことも「実家じまい」を経験したからこその出来事です。
初めて知る両親の優しさを荷物から読み解くことができたのも然り。
きっちり「実家」と向き合う、両親を深く知る「実家じまい」は、大変ながらも唯一無二の貴重な経験だったことは間違いありません。
もう私には「実家に帰ろ」ということはできません。
母も「自分の家に帰りたい」と言っても帰るところはありません。
そういう現実を受け入れる覚悟も含めた「実家じまい」です。
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