10年もの介護をやってきてわかった。施設入所前までに母があらかじめやっておいてくれて助かった9つのこと




介護準備|母があらかじめやっておいてくれて助かった9つのこと

父は認知症(他界)、母は難病(大脳皮質基底核変性症)。
10年もの介護を振り返り、「いずれ介護をしてもらわないといけない」ということを念頭に置いて行動していた母のおかげで「準備してくれていて助かった」と思うことが9つあります。
「介護」の現場では、母ができなくなることやできなくなったことを、私が代わりに引き継いで行動することがあります。母があらかじめ準備しておいてくれたことでスムーズに引き継いで行うことができました。



1.通帳の1本化

数ある銀行口座を年金が振り込まれる口座に順番に集約していってくれました。

銀行口座の解約手続きには本人が窓口に出向き本人確認を行う必要がありました。
そのため、母に何か起きて出向くことが難しくなってからでは本人以外の者が代行して口座の解約や移行を行うのがとてもむずかしかったのです。
今後使わないと決めた銀行に出向き解約を希望し手続きを行ってくれていました。
実家の電気水道ガス電話代金の引き落としもそこに集約してくれていました。

2.クレジットカードの退会

何枚か持っていたクレジットカードすべての解約手続きを行ってくれていました。

施設に入所した場合、クレジットカードを使うことがないからです。
カードの契約によっては利用料金以外に年会費が必要なカードもあり、解約することで不必要な費用を減らすことができました。

3.遺言書作成

「遺言書」は手書きではなく正式な遺言書を専門家に依頼し作成しておいてくれました。
これは簡単なことではないと思いますが、難病の症状として患うことが長きに渡りそれに合わせて介護期間も長く実子に負担を強いるということを大前提とした遺言書を作成したということでした。

4.実家にある物品のある程度の処分と整理(断捨離)

実家の軽めの断捨離を行ってくれていました。

不必要な家具類(例えばマッサージチェアー)を粗大ごみとして居住地のごみ出しルールに則り処分していました。

使わずに置いてあった新品の食器類(例えば〇〇の茶器一式)タオル寝具などを家を訪ねてきてくれた友人などにプレゼントしたり、手助けしてくれた近隣の方にお礼として渡していました。

5.財産の概要説明

その時点での財産と呼べるものについて説明をしてくれました。

マイナスの財産(借入金、未払金)はないこと、遺言書を作成したこと、どこに口座をもっているのか、そしてこの先に施設入所をした場合のざっくりとした支出金額、実家の手入れ方法など。
難病の症状で手の固縮があるので自筆できるうちに委任状を作成していました。

6.友人関係の整理

年賀状でやり取りしている人を含めた自身の友人関係を説明してくれました。

友人と携帯番号の交換を済ませどこからでも連絡を取れるようにしていました。
また年賀状も数年かけて年賀状じまい(終活年賀状)を行っていたようです。

7.保険証書の整理

自身の生命保険や家にまつわる火災保険証書、互助会証などをひとまとめにしてありました。

満期が来ていない定期預金もすべて解約し現金化して口座に入金したため、そういう類の証書は存在しないことも説明されました。

8.運転免許証の返納

運転免許証の自主返納手続きを行っていました。

難病のため運転をしていなかったのは前提にありますが、それでも自身の証明書類として有効なのでそのまま持ち続けていました。
返納の手続きは本人が出向いて行いその場で署名などの必要があるため自筆できるうちに、また更新案内手続きが手元に届いてから慌てるより前もって煩わしさをなくすために、自主返納手続きを行っていました。

9.携帯電話の機種変更

施設入所した場合、母との連絡手段を携帯電話にすると決めました。 この先の携帯電話の使い方を考えそれに見合った機種と料金体系へと変更を行いました。

携帯電話は本人確認が特に重要視されるのでショップに本人が行くことができること、署名ができることが必要だったため施設入所前に行いました。
体が不自由になってくるとショップに行くことが難しくなるためで、機種変更することで機器が新しくなり耐久年数をリセットできることが大きなメリットです。

まとめ

「いずれ介護をしてもらわないといけない」ということを念頭に置いて行動していた母のおかげで、母ができなくなることやできなくなったことを私が代わりにスムーズに引き継ぐことができました。
特に難病と診断されてからは準備が加速したように思います。

親子関係のなかで親の持ち物(財産や友人関係)を知ることは必要なことだと思いますが、私にはタブーな話題という気持ちがありました。
両親が元気だった頃に、話題にのぼったこともありましたが頑なに拒否し耳を塞いでしまったことを思い出しました。
その時は元気な両親を目の前にして「親がこの世の中からいなくなる」ときのことを心情的に考えることができなかったからです。
両親の持ち物を知りたいと思うことは両親が存在しなくなることを願うような気持がしてならなかったからです。
いずれはそんなときがくるけれども、そういう悲しいことが現実に起こった時に考えればいい、と思っていました。
でもこうやって母が自身の持ち物の整理をし私に代わりにやってもらいやすくしてくれたことによって、私は母の代行をスムーズに行うことができています。

「介護」とは対面だけでお世話を行うことだけではなく、できなくなったことを代わりに執り行うことも含んでいると思います。
このできなくなったことを代わりに行うことは「介護」という言葉から想像し難いのですが、立派な介護だと思います。
これを私は「名もなき介護」<内部リンク>と呼んでいます。

実際に母が前もってやっておいてくれたことで私は「準備しておいてくれてありがとう、助かった」と思いました。
自分の代わりに事をスムーズに行ってもらうには、上手にバトンを渡すこと、バトンを渡した相手が上手に走ることができるようにすることが必要だとわかりました。

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