大脳皮質基底核変性症|胃ろう造設後のリアル




大脳皮質基底核変性症|胃ろう造設後のリアル

このページでは大脳皮質基底核変性症を患う母の闘病記(胃ろう造設後のリアル)を記録しています。2024/02/01

(この先を読み進めると、捉え方によっては不快に感じるかもしれません。
読み進めるかどうかの選択をお願いします。)


「胃ろう造設」までの道のりについて、
胃ろうについて(前編)
胃ろうについて(後編)
胃ろう造設について
の3つの記事を記録してきました。
今回は胃ろう造設後に母にどんな変化があったのかのリアルを記録します。



胃ろう造設から退院までのスケジュール



胃ろう造設のための入院は2週間かかりました。
・入院から手術まで2日間。
・手術後様子見1〜2日間。
・状態が良ければ水分や栄養を徐々に入れていく調整に5日間。
・さらに良ければ、適量を入れ日常と同じ状態にしながら様子見をするのに4日間。
・これと並行してベッドからの起き上がりなど
リハビリを行う。
・最終に退院日を決定する。


退院後どこに住むのか、そこまでどうやっていくのか、ケアマネは誰かなど、院内の専門の支援員がキーパーソン(母の場合は私)と情報を共有し、その後関係各所と調整を行ってくれる。
退院日は指定された時間に行くと
会計、薬の準備が整い
入院部屋の荷物もすでにまとめられており
母は外出着に着替えており
迎えにくる福祉タクシーの到着を待つだけという
状態になっていました。

そこにいつもお世話になっている主治医が来て

お母さんの手術が成功しましたよ。
きれいにできました。
お母さんの胃袋が小さいのでだいたいの人が入れる容量より少なめです。
入れすぎちゃうと嘔吐することになるのでその人の適量があります。
施設で様子見をしながら増やしていくこともできるかもしれません。
半年後に胃ろうのために来院してもらう必要があります。
僕のところは今までどおり月に一度来てくださいね。

すべてがスムーズに流れていきました。

施設に移動し、ベッドに横になると、すぐに看護師が来て私から病院での様子を聞いてきます。
・薬や器具の確認。
・その後すぐに施設の担当医が来て、母の様子を診て、私と情報共有。看護師に指示を出す。
・ケアマネに私からも施設からも情報を共有する。
・停止していたサービスを再開。

この一連の流れで「母の胃ろう造設」が滞りなく終わりました。

胃ろう造設後の入院中に起きた変化

・「お腹がすいた」と訴えるようになった
・今まで口をきゅっと閉じていることが多かったが口を開けるようになった
・口をパクパク。物を食べているようなしぐさをするようになった


入院前の状況からして、この変化は驚くことばかり。
人間の不思議な力を間近で見ました。

そこで退院時に主治医にこの話をしてみました。

今まで脱水症状や栄養不足だったのが、胃ろう造設で良くなったからです。
体が整ってきたからです。
ただし胃ろうだけに頼っていれば口から食べないので、口周りの力が落ちます。
お母さんの場合、大脳皮質基底核変性症があるので、しゃべれなくなることが考えられるのでSTさん(言語聴覚士)のリハビリを継続してください。


退院後に起きた変化

・顔色がとても良くなった
・ベッド上で自分で足を動かしたり、毛布や布団を自分の好みに変えることができるようになった
・寝ている時に靴下を自分で脱ぐようになった
・目力が強くなった
・寝ている時と起きている時のメリハリがつくようになった
・今まで口を頑として開けなかったのが、自分から口を開けて食べようとするようになった
・「喉が渇いた」「お茶が飲みたい」と言うようになった
・全く食べなかったのに、プリンやゼリーを好んで食べるようになった


これは退院後10日間の変化です。
私が気づいただけではなく、施設のスタッフさんも気づき、驚き喜んでくれます。

いかに毎日食べることが大事かということです。

胃ろう造設って結局・・・

胃ろう造設にたどり着くまでに多くの時間がかかりました。
なぜなら、「胃ろうは延命」であるという言葉自体がまず先に来てしまうので、これからの先のことを見据えて、考えていかなければならない切羽詰まった状況に陥るからです。

さらに「胃ろうする?しない?」の決定は本人の意思確認を優先することが必要であるとはいえ、苦しさの最中の本人の判断は今まで貫いてきた考えとは異なることが十分にありえること。
本人の意思を最優先にしたとしてそれは周囲のこの先の協力が欠かせないこと。
自分たちを取り巻く周囲の人の考えも視野に入れて考える必要があること。

多くのことが複雑に絡み合って、一人では処理することが不可能になるくらいのハードルを越えなければなりませんでした。

高齢者の胃ろう造設は世の中の流れから「積極的に行わない」ということがあるようです。
施設内で「胃ろう造設を断られる病院も多く、やってくれる病院を探さないといけない」と他の入所者の経験を教えてもらったこともあります。
「積極的胃ろう」は前もっての胃ろうという意味なのかもしれませんが。

何はともあれ、今回「胃ろう造設」の山を登り終えた私の個人的感想としては 胃ろうは「生活の質=QOL (Quality Of Life)」を上げることができる手段のひとつだと感じました。

胃ろう造設は、高齢者を「生きさせるのか?そうしないのか?」という判断のひとつであることには間違いないのですが、少し視点を変えて、「その人が今の状況でその人らしく生きるためには」と考えることが「生きさせるかどうか」より先にあってもいいのではないかと思いました。

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