大脳皮質基底核変性症|胃ろうについて(後編)




大脳皮質基底核変性症|胃ろうについて(後編)

このページでは大脳皮質基底核変性症を患う母の闘病記(胃ろうについて(後編))を記録しています。2023/12/31

(この先を読み進めると、捉え方によっては不快に感じるかもしれません。
読み進めるかどうかの選択をお願いします。)


胃ろう(前編)に続く後編として、毎月通院している主治医との話し合いの内容です。


「胃ろうを作る?どうする?」と主治医から直球な質問でスタートした診察。

主治医から「今まであえて、このことに触れることなくここまできたのだけど・・・」と言われるくらい「誰もができれば触れたくない永遠のテーマ「胃ろうする/しない」」。



  • 胃ろうをすることで体に栄養が行き渡り、褥瘡予防になる

  • 誤嚥のリスクを防ぐことができる

というメリット部分をしっかり理解した上で
今の母の状況での「胃ろうする?しない?」という言葉は私にとって重くのしかかるものです。

なぜなら「胃ろう」をすることで、確かに環境管理ができ、リスクを回避できるメリットは大きいのですが、この「大脳皮質基底核変性症」は治ることはありません。
ゆっくりと状態悪化が進んでいきます。
母は苦しみが続きます。

その中で母の命の限りに、私が関わらなければならないということ。
途中で戻ることができない判断もあること。
そのため、いろいろな人の考えを聞き
「胃ろう」を詳しく知り
「胃ろう」に対する考え方を多く知り
そして母の想いを尊重しながら
どこかで判断しなければならないときに備える。

「胃ろうする?/しない?」

主治医に相談してみることにしました。


難病情報センター:大脳皮質基底核変性症とは<外部リンク>

「胃ろうとは、胃内と体外を結ぶ管状の瘻孔(ろうこう)のことをいいます。胃ろうは、胃に穴をあけて専用のチューブを挿入し、栄養補給をする方法であり、人為的かつ意図的に形成されます。」
引用:公益財団法人長寿科学振興財団胃ろうとは<外部リンク>



胃ろうする/しない



ご家族様はこれからをどう考えていますか?
胃ろうをして生活環境が整うと、現在のリスクだと考えている
・ほとんど何も食べない
・食べれても咳き込むことが多い
を回避できることは理解しています。
でも、胃ろうをして新しくスタートできても、大脳皮質基底核変性症の進行は止められず、言葉を話すことも、言葉を理解することも失ってしまい、自分の意志で行動できない、ベッドに寝ているだけになってしまうことを母に強いることになってしまうのは、ちょっと・・・。
そうですね。
悩ましい問題です。
パーキンソン病だと血圧をコントロールする神経がやられている。
胃ろうする段階だとその神経がやられていることが多い。
血圧が乱高下することが多く、胃ろうを作ることによって負担がかかって突然死のリスクが上がる。
半年1年後になくなる可能性がある。でも・・・

「大脳皮質基底核変性症は」と前置きして、先生はきちんと私の方に姿勢をただしてから、話をしてくれました。

頭だけの問題で首から下はなんにも神経に及ぼさないので、胃ろうをすると長生きする。


左の頭が萎縮するタイプなので
ご飯が食べれなくなる
=(イコール)
言葉が喋れなくなる
これらは絶対セットになる。


右側の場合はそこまで考えなくてもいいけど。


安楽死が認めれていない日本において肺炎の管理だけすれば長生きする。
外国では高齢になって施設に入ったら、入りっぱなしで、その後、病院へかかることはあまりない。
医療費が高いということもあるが。


お母さんの場合、胃ろうは可能(CT検査結果から)。
今回の血液検査結果も問題ない。


この大脳皮質基底核変性症になっていなければ、高齢の不調は出ていたかもしれないが、おそらく大病もなく過ごしていたと思われる。

つまり、胃ろうをすれば、施設での療養が長期間に渡ることが考えられる。
10年、もしかしたら15年。


ただし、胃ろうを作ったら途中でやめたいとは言えない。


ご家族様の「生きていてほしい」という希望を胃ろうで叶えることができる。


何度も言うが
この大脳皮質基底核変性症は
運動機能がやられるだけで内臓系をコントロールする神経はやられない。


お母さんの様子を見ると、言葉が喋れなくなってきているので、噛むこと自体が遅くなってきている。
仮に「食べたい」と思っても、喉の奥まで動かなくなるので、食べれなくなるときがくる。


いま入院すれば、お母さんの状態をみると10日〜14日の入院期間になる。
おそらくこの期間は大きなリスクとなる。
入院中は食事をしない、口を動かさないので話すことができなくなってしまうことが考えられる。


ずっと診察してきた中で、あなた方の関係性を考えると胃ろうはないよりはした方がいいのかと個人的に思うところ。


などなど。

そこで、私からの提案です。
今の状態をできるだけ維持することを優先しましょう。
何か起きたときに、もしくは、次回の通院時の様子をみてから考えましょう。
いつでも受け入れできるようにしておきます。
緊急なことが起きたとき、すぐに来てください。


主治医は以前
「実際のところ、難病の場合、治療方法がないので、医師として患者さんにできることが少ないのですが、難病ゆえに予後とかこの先どういうふうになっていくのかを正確に患者さんやご家族さんに伝えて支援していきたい、それが仕事のひとつだと思っています。」
とおっしゃったとおり(内部リンク大脳皮質基底核変性症|原因について)、私に真摯に向き合ってくれていると感じました。

胃ろうをしたら

数か月前から「胃ろう」について、いろいろな人と話し、私なりに情報を集めてきました。
しかしながら、私がたどり着いたのは、やっぱり「答えが出ない(出せない)」ということでした。

少しでも前もって「胃ろう」をしようとすると、その胃瘻造設期間で言葉を失うリスクが大きい。
でも、食べること飲み込むことができなくなってきたのも事実。


じゃあ、胃ろうが成功したらどんな母がいるのか、胃ろう後の母の様子について、質問しました。

胃ろうが成功したとして、母はこの先どうなっていくのですか?

今回の診察の最後の私のこの質問に主治医は正確に答えてくれました。

お母さんの胃は機能し続けるでしょう。
お母さんはベッドの上で、生き続けます。
体は右側が現在拘縮していますが、左側にも出てくるようになります。
言葉を発することはおそらくなくなるでしょう。
こちらからの話に反応することもなくなってくるでしょう。
ご飯を食べようと仮に声を掛けたとしても、お母さんはそれが何を意味するのか、わからない あなたがお母さんに会いにいくことはできます。


母は何を想う

近くで主治医と私の会話をずっと聞いていた母は、何も言葉を発することはありませんでした。

母はどうしてほしいのだろうか。 私が母の立場だとしたら・・・と想像しても、きっとわからないと思う。

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