大脳皮質基底核変性症|進行が加速
このページでは、大脳皮質基底核変性症の母の「進行が加速」について記録します。
退院から約2か月後のいつもの通院で、母の様子を診た主治医から「進行の速度」についての話がありました。
大脳皮質基底核変性症はゆっくりと進行していく病気であり、完治や進行を止める治療は見つかっていません。
外部リンク参照:難病情報センター大脳皮質基底核変性症
「あの発熱が続いたことで、お母さんの状態が悪くなった気がする。」
主治医は母の入院前と退院後の外見的な様子を比べて、この難病が急に進行してしまったのではないかと言ったのです。
数か月前に主治医とこんな話をしたなーと思い出しながら、私にとってはものすごく衝撃的な言葉でした。
「母の状態は小康状態で安定している、平穏とのこと。
ゆっくり進むこの難病ならではなので、
私に今の時間を大事にするようにとのことでした。」
内部リンク:大脳皮質基底核変性症|胃ろうの満腹感
1.状態変化
退院後の母の状態変化をできるだけ大きくしないように
関係あるところと連絡を密にして
スムーズに前の生活に戻れるように努めました。
ところが、私の経験不足で気づかないことがあって
退院してからリハビリなど何もしないまま時間だけ経過していき、
母の能力を落としてしまったのではないかと思うことに
直面しました。
前回の記事はこちら:大脳皮質基底核変性症|「退院後の状態変化」
退院して2か月程、私が母の様子を見てきて、退院後の状態変化が大きかったと感じるのは
口からのお楽しみ食
後屈気味な体勢
です。
口から摂るお楽しみ食の機会の減少は
口周りの衰え
食べる意欲と食べる行動の連動の少なさ
座る機会損失
となってしまった気がします。
実際に母の様子が入院前よりも良くなく、
この何もしない時間の経過がひとつの原因だと考えていましたが
主治医の話を聞くと、それだけではなくもっと深い原因があるように感じました。
2.進行の加速の原因
- お母さんにとって、この前の炎症(発熱)が大脳皮質基底核変性症の進行に繋がったのではないかと思います。
続けて
- 神経の疾患がある人にはインフルエンザやコロナには充分注意をして、そして肺炎にならないようにと話をしています。
話はまだ続きます。
- お母さんの血液検査は結果としては良くなってきたが、一方で頭の部分への影響はとなると、ものすごく負担がかかっているのではないか。
そして、
タウ(Tauopathy:タウオパチー)というタンパク質が一番蓄積するのはインフルエンザだと今のところわかってきた。
タウがある人が罹ったあと進行のスピードが上がるとわかってきている。
医学の最近のトピックスになっている。
「どうして進行するのか」がわかると良いのかというと、病気を止めることができるし、薬の開発に繋がり多くの患者を救うことができるかもしれないから。
と主治医は言うのです。
つまり
外見的に見て急な進行が起きたような母の様子は、
ゆっくり進行するという大脳皮質基底核変性症の症状とは異なり、
この前の入院(発熱)により何か頭の中で起きているのではないのか、
それもタウが関係しているのかもしれない
という話だったわけです。
私は医学に明るくなく
自宅でネット検索すると、
確かにインフルエンザとタウの関係性があるというニュースが最近ありました。
「ただし」
と主治医の言葉が続きます。
日本では残念ながら、大脳皮質基底核変性症に罹患した人の把握はしているが、
その後のどうなったのかについては把握していないと思います。
海外の一部では、罹患後の追っかけをしている国もありますが。
特定医療の申請(更新)で、
患者の状況を臨床調査個人票(診断書)で医師が作成する機会が年に1度ありますが、
ここにはインフルエンザや肺炎や他の大きな病気などに罹ったと記録する欄はありません。
3.対処
急激に進行した母の状況に、私がどう対応していけばいいのか主治医に尋ねました。
- この先、体全体が固縮しガチガチになっていく。
左側の手足にも出てくる。
これをできる限り遅らせるためには、マッサージで筋緊張を緩めることです。
4.まとめ
退院後、母の状態が良くなく、
これは私の力不足でリハビリすることなく過ごすしかなかった空白時間が
大きく影響してしまったと感じていました。
ところが、主治医の話では、進行の加速はそれだけではなくもっと直接的な影響があるのではないかという話でした。
「ゆっくり進むのがこの病気の特徴である」大脳皮質基底核変性症ですが、
発熱を機に起きた母の急激な変化から
加速する要因がそこにあるかもしれません。
罹患率が低く稀な病気「大脳皮質基底核変性症」ですが、
例え罹ったとしても
進行を食い止めることができるだけでも
きっと母の人生は大きく変わっていたと思います。
そのような未来が近くやってくることを願わずにはいられません。
母も苦しい毎日を過ごす中で、きっとそう思っていることと思います。
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