大脳皮質基底核変性症|胃ろうの満腹感




大脳皮質基底核変性症|胃ろうの満腹感

今回は、主治医から教えてもらった胃ろうの満腹感を始め、大脳皮質基底核変性症にまつわることをまとめます。2024/04/15



胃ろうで必要な栄養を確実に摂りながら、
それとは別に
できるだけ機会を作って口から食べる。
それがたとえ少量であったとしても
本来の食事のカタチを楽しむ。
母に食事をすることを忘れてもらいたくない。
「おいしい」と感じてほしい。
「おいしい」「おいしいね」と言葉のキャッチボールをしたい。
言葉を失うことがわかっているこの病気だからこそ
積極的に口を動かすことで
話す機能をできるだけ保つことも目標に入れて。





本当のところ、
あれもこれもは欲張りすぎかもしれません。
でもそのときどきの母の様子をよく見ながら
時には、施設のスタッフさんや言語聴覚士さんのアドバイスをもらいながら
母と二人三脚で、
試行錯誤をしながら
胃ろう造設してから3カ月が無事過ぎました。





1.母の好みの食べ物



母が口から楽しむ食事は
「プリン」「コーヒーゼリー」「ヨーグルト」。
この3種は毎日であっても
甘味が口に合うのか、積極的に口を開けます。

「プリン」はどちらかというと
卵の味がするものより甘味が強い方が好きみたい。
形状はどちらも大丈夫ですが、
少し固まり具合が強い方が、
施設のスタッフさんは安心するみたい。


同じような形状の
「豆腐」「卵豆腐」「茶碗蒸し(卵の部分)」を
試してみると
「おいしくない」「食べたくない」と
あまり積極的ではありません。

胃ろうからの食事(栄養剤)が終わってから
1時間半くらいは
「食べたくない」と拒否することが多いと
この3カ月間でわかってきました。

とはいえ、
口で噛むことがない胃ろうで
どこまで満腹感を感じているのか
母を見ていてもよくわからなかったので
今月の通院時に主治医に尋ねました。

2.胃ろう(栄養剤)での満腹感

胃ろうで食事(栄養剤注入)の場合、どれくらい満腹感を感じているのですか?
「口で噛み砕く」ことがないのに満腹感はありますか?


噛まなくても
満腹感は当然あります。
糖分がたまれば視床下部で満腹を感じます。
この大脳皮質基底核変性症では脳のその部分はやられないので、十分に感じていると思います。

お母さんは胃が小さいので栄養剤を通常よりも少なくしています。
そのため私たちが食べ足りないときに物足りないと感じるのと同様に、食べ足りないと感じているかもしれません。



3.胃ろうでの栄養素確保で症状が進んだ?

とても肌つやが良くなりましたね。
胃ろうで確実に栄養を確保できるようになり
その部分は以前の状態に戻ってきたと思います。


胃ろうでの栄養素が十分に摂れるようになってきたので
安心できるようになったのですが

急激に大脳皮質基底核変性症の症状(手の固縮)が
出てきたように感じます。


タイミング的に「栄養が回ったから急に」と
感じるかもしれませんが
「まったく別」です。

頭の萎縮は確実に進行しています。

お母さんの今日の姿を見ていると
大脳皮質基底核変性症の運動機能の障害による
体の傾きがいつも以上に見られます。


確かに前より傾くことが多くなりました。


何より言葉の問題が少しずつ出てきていますね。
確かに最近は自分から話すことは稀になりました。


手も足も今よりももっとぎゅうと固まってくる症状とともに、言葉が出なくなる。

今は質問に答えたり、
挨拶すると今日のように返事をしたり
聞き取りにくいが何か話かけてきたり

けれども
もう一段階進んだ症状が出てくるときが必ず来ます。
発話がなくなる
わかる機能もやられる
それは人によってスパンが違う
ゆっくりゆっくり年単位で進行する
腕の固まりがもう一段階強く出てきたときに言葉の障害が出る

本当にまったく出ないときが来る

全く出なくなったときが次の段階に進むサインです。
簡単に言うと、
頭の前側に言葉を話す神経がある
さらに前に人間的に意欲的に活動しようと思うところがあり
そこが最初に手足を動かす命令を出すおおもとのところ
手を動かそう、足を動かそう、言葉を話そうと思いつくところ
全部、頭の前側にある
言葉を話す神経のその前にある
言葉を話す神経がやられると、そこもやられてくるので一気に動かなくなる

なので言葉が話せなくなったところが気づくポイントなのです。



4.症状のMAXは?

それがこの病気の最後の症状なのですか?
いえ、違います。

その後、頭全体(脳)が縮んでくる
脳全体の表面が萎縮する

でも
自律神経症状(血圧脈拍を整える)の部分はこの病気の影響を受けないので
食事の管理ができていると、お母さんの持つ寿命まで生き続けます。



5.大脳皮質基底核症候群とは?

大脳皮質基底核症候群とは何ですか?
神経難病を、昔は判別がつかなかったため、ひと括りにしていました。

大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、パーキンソン病など今は症状によって判別しています。

例えば進行性核上性麻痺は脳幹から前頭葉、小脳の後ろ側がやられます。

大脳皮質基底核変性症は、大脳半球(大脳の表面)がやられます。
運動機能から前側がやられます。

どちらも病理変化は同じです。



6.大脳皮質基底核変性症の人が増えてきた?

大脳皮質基底核変性症の人が増えてきましたか?
この病気を診断してきた経験が高い、いわゆる目の肥えた人がみればわかるようになってしまったためと考えられます。
治療法は今のところありません。



7.まとめ

主治医に母の胃ろう3カ月後の様子を診てもらい、
大脳皮質基底核変性症にまつわるいくつかの質問に
回答してもらった内容をまとめました。

母の状態は小康状態で安定している、平穏とのこと。
ゆっくり進むこの難病ならではなので、
私に今の時間を大事にするようにとのことでした。

難病の人がネット上で情報を見つけられるようにと始めたブログですが、
母の様子は母のものであり、
特に大脳皮質基底核変性症の場合は
人によって症状がまちまちであるということを考えれば、
ひとつの症例にすぎません。

「医者でありながら患者を治すことができないが
その分その患者と家族に情報を惜しみなく伝えたい」

という主治医のおかげで、
私の質問に何でも答えてくれることに
私は救われて、ここまでやってきました。

主治医からもらった情報を
私は母の状態とともに発信しています。




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