大脳皮質基底核変性症|水分摂取
今回は水分の取り方(水分摂取)について記録します。
大脳皮質基底核変性症を患う母に限らずですが、
高齢者に水分の飲ませ方って結構悩んだりするものです。
高齢のため喉の渇きを感じにくい場合もあり脱水に注意が必要です。
とくにこの季節柄、
胃ろうで管理されていても、
口から摂取することは
口の中や喉を潤すことができるので
必要な行動のひとつです。
母は、お楽しみ食のときに、
お茶(とろみあり)をスプーンで口にしますが、
プリンやゼリーとは違い、あまり進みません。
母の場合、バルーンカテーテルなので
尿の様子を観察しながら、
脱水を防ぎます。
1.ストロー、吸い飲み、シリンジ、スプーン
現在は、もっぱらスプーンでの摂取なので、
一口量が少なく時間がかかり、多くを飲む前に
飲みたくなくなることが多いです。
スプーンで摂取すると良いことは、
母のように嚥下機能が低下しつつあると、
一口量をコントロールしやすくなります。
ちょうど1年前の夏を思い出すと、
ペットボトルから直接口をつけて飲んでいました。
コップからもむせることなく飲んでいました。
通院時など外出時の水分摂取に
手間取ることはほとんどありませんでした。
その後、コップやペットボトルから
飲むとむせるようになったため、
ストローを使い水分を取るようになりました。
それでも、まだまだ吸う力があり、
飲みたいだけ飲むことができていました。
ストローの良さは、
下を向いて飲むことができることです。
吸い方によっては
勢いよく口に入ってくるのでむせることもあり、
ストローの太さや長さで、
口に流れ込む量を調整していました。
状態によって工夫すれば、
吸う力を保持できます。
母の場合、徐々に食事を拒むことが増え、
食欲が喪失し、水分さえ取らなくなってきたのでした。
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そんな中、吸い飲みを使い、
口の中に流し込んで、
水分を取るように施設のスタッフさんがしてくれていました。
吸い飲みの良いところは、
吸う力がなくても、
口をあまり開かなくても、
ベッド上でも、
水分を取らせることができます。
ただし、飲ませる側は
一口量を調整しにくいので、
コツや注意が必要になります。
また下を向いて飲むことができないので
むせる可能性もありますね。
そして母がもう少し症状が進んで、
まったく何も口にしなくなり、
そのときにはシリンジでの水分摂取になりました。
目盛りがあるので
一口量を調整しやすく、
介護する側にとっては適量の共有がしやすくなり、
誰でもできるというメリットがあります。
でも見た目にはあまり良くはありません。
無理やり感が漂い、
特にその頃の母は拒否感が強かったので
顔をしかめ、それを見るたびに、
介護する側にも抵抗感があったようです。
その後、母はとうとうバルーンカテーテルでわかる尿の様子が悪くなり、
点滴からの強制水分摂取になり、
胃ろう造設をしました。
胃ろう造設後は、
また口からの摂取が可能になり、
スプーンにお世話になっています。
2.魔法のランプ
先日、このサイトを通じて、
「吸い飲みという魔法のランプの形をしたプラスチック製の容器を使い、飲ませるのにはコツがいるけど、大好きなコーヒーを飲ませることができている、おいしそうに飲んでいる」
と同じ大脳皮質基底核変性症を患っている方を介護している方から
ご連絡をいただきました。
私の母にその姿を重ねて、
コーヒーの香りやうれしそうな表情まで想像できて、
自分のことのように
うれしく感じるものです。
母も同じようにコーヒーが大好きで、
喫茶店にモーニングを食べに連れ出したりしていた1年前をふと思い出し、
今はできなくなったけれど、
母と一緒に喫茶店にいた
懐かしい時間を思い出しました。
魔法のランプでお願いを叶えてもらうなら
今の私のまま、
母が大脳皮質基底核変性症だとわからなくて苦しんでいる頃に戻りたい。
そうしたら、
母にきちんと寄り添いたい。
大脳皮質基底核変性症は臨床調査個人票(外部リンク)に
あるように
「異常行動 性格変化」が
見られるのも特徴のひとつです。
病気だなんて知らなかった私は、
母との関係悪化に悩み、
母が辛くて苦しんでいることよりも、
母の異常行動や性格変化から受ける自分の苦しみを存分に感じてしまい、
寄り添えなかったからです。
3.まとめ
このサイトでは大脳皮質基底核変性症を患う母の
水分の取り方(水分摂取)について記録しました。
水分摂取の方法は、
状況に応じて、ストロー、吸い飲み、シリンジ、スプーンで対応していきます。
どれを使おうと、
水分を自分の口から摂取できる力(機能)を
維持していこうとすることが大切です。
一度失ってしまうと、
戻すことはできないことが多いので、
できるだけ失わないようにする方が
介護される側も、する側も良いのです。
ましてや話すことを失ってしまうこの大脳皮質基底核変性症ならば、
話す機能がある口周りのことには
慎重に粘り強く向き合っていかなければなりません。
「吸い飲み」から「魔法のランプ」、
「魔法のランプでお願いを叶えてもらうなら」と考えてみました。
誰にも理解してもらえず、
みんな離れてしまったひとりぼっちのあの頃の母の心中を想うと、
魔法のランプを擦って、
今の私のまま、あの頃に時間を戻してほしい
と願いたいと思うのです。
今の私だからこそ、
あの頃の母に寄り添えるくらい、
大脳皮質基底核変性症について、
そして大脳皮質基底核変性症の母のことを
理解できるようになったと思うのです。
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