大脳皮質基底核変性症|食欲の喪失について
このページでは大脳皮質基底核変性症を患う母の闘病記(食欲の喪失について)を記録しています。2023/10/31
月1度の通院では、主治医から、大脳皮質基底核変性症にあらわれる「食欲の喪失」について教えてもらいました。
なぜ今回の通院で「食欲の喪失」について教えてもらうことになったのかというと、母は現在食欲がありません。
「おいしい」と言って、プリンやコーヒーなど、好みの食べ物を意欲的に食べようとしていたのに、それがパタリと失くなってしまったのです。
難病情報センター:大脳皮質基底核変性症とは<外部リンク>
1.食欲(母の場合)
食事のときは、席にいるものの、食べ物のおいしい香りが漂ってきても、興味がなさそうです。
当然ながら1日の必要摂取カロリーを満たしていないため痩せてきました。
毎食、主食(やわらかご飯)をスプーン(離乳食用スプーン)で2〜5口程度。
その後は、目を瞑ってしまったり、「食べない」と拒否することが多くなったのです。
今月から言語聴覚士(ST)のリハビリをスタートしました。
そのリハビリの内容は食事に焦点をあてています。
発声、発話などの機能的なリハビリはこの病気にとって必要なことですが、現在の母の様子から、自分の口で食べ物を食べることを保持し続けるためです。
歯もほとんど残っており、丈夫なしっかりとした歯だということもあり、咀嚼は問題なさそうです。
そして飲み込みもほぼうまく機能しているようです。
「パッ」と言われれば「パッ」と答えるなど発声もできているようです。
でも食欲はまったくないようなのです。
2.主治医にもらったアドバイス
この様子を主治医に伝えました。
- 大脳皮質基底核変性症には「やる気がなくなる」という症状が現れます。
この病気は鬱的症状が伴うことがあり、「食欲の喪失」もそのひとつです。
- えー!全く知りませんでした。
その鬱的傾向を改善するために薬を飲むということは有効ですか?
- 現在も処方していますが、例えば、簡単に言うと薬を増量して効果が出る頃には病気が進んでいることが考えられます。
- やる気が出てきてもそれに応える機能が残っていないということですか?
つまり効き目が出るまでに時間がかかるということですか?
- そうです。
- 仮に薬が効いてやる気が出たら、もしかしたら不穏など望まない他の症状も出てくる可能性もあるのですか?
- はい、そうです。
薬ではなく、そのために言語聴覚士(ST)のリハビリを入れることを勧めたのです。
言語聴覚士の方は、食事もそうですが、お母さんの頭の中にサッと入る言葉掛けができると思います。
確かにそうなのです。
言語聴覚士の食事リハビリでは、主食はほぼ全量食べているのです。
- 味覚についてですが、この病気では味覚がなくなるということはありません。
昔に好きだった物の味の記憶が残っています。
そういうものを積極的に食べさせてあげてください。
- そしてお母さんは頭の中ではしっかりと理解されています。
静かになったけれども、周りのことを見聞きし、理解されています。
先日、まだ数回しか会ったことのない言語聴覚士さんの名前を呼びかけて、周りをびっくりさせました。
私たちが話している内容を聞いて、言語聴覚士さんの名前を覚えていたわけです。
「食べたい」という気持ちは生きるうえで大事なこと。
「おいしい」「満足した」という気持ちを母が持つことを私はずっと大事にしてきました。
それは、私でもそうですが、幸せな気持ちや落ち着いた気分に繋がると思うからです。
自分の足で歩くこともできず、私が行かない限り、施設の部屋の中でベッドで横になっているだけの生活に、おいしいと思う気持ちや、食べたいものを自分で食べることができる幸せは、穏やかに生活を送ることができる唯一のことだからです。
でも、ここにきて「食欲の喪失」のことは全く眼中にありませんでした。
私はこの病気における嚥下障害(終末期の症状)は、「食欲があって、食べ物をうまく飲み込むことができにくくなる」と考えていました。
それが現実的には「食欲がなくなってしまって、食べることを失くして、使わなくなるので機能を落とす」ということのようです。
まったく想定外のことでした。
そして、母が好きな物をもっとたくさん知っておけば良かったと思うところです。
今からでも間に合うかな。
他の記事はこちらから…介護記事一覧