大脳皮質基底核変性症介護|右手に現れている強い緊張を緩めるためのボトックス注射




大脳皮質基底核変性症介護|右手に現れている強い緊張を緩めるためのボトックス注射


先日の通院時にボトックス注射を受けてきました。
これは大脳皮質基底核変性症の母が、長い間ぎゅーっと握りしめたままになっている右手を和らげるためです。

病院からはボトックス治療を受けるための同意書を渡されるのでサインが必要になります。
急に受けることはできないので、予約が必要です。

今回はどんな人がボトックス注射を受けることができるのか、期待される効果や母の様子、母と同じ大脳皮質基底核変性症でボトックス注射を経験している方の情報も合わせて記録しています。



1.病院から渡された説明書によると



病院から渡された説明書に下記のような内容が書かれています。

ボトックス注射とは

  • 神経疾患によって生じる運動機能障害で、筋肉が緊張しすぎて動きにくかったり、手指が握り込まれて開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、などの症状が見られる患者さんに対して、定められた資格を持つ医師のみが投与することができる

  • ボツリヌス菌が作り出すA型ボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成分とする薬で、ボツリヌス菌を注射するわけではない。ボツリヌス菌に感染する危険性はない

  • 様々な研究の結果、このタンパク質のごく少量を緊張している筋肉に直接注射すると、その筋肉がゆるみ緊張が治まることがわかり医薬品として利用されるようになった

効果

  • この薬の効果は2,3日から2週間で現れ、通常3〜4ヵ月持続する。その後時間経過とともに徐々に効果が消失、注射前の状態が再び現れてくる。ボトックスを再投与することで、同様の効果が現れる。

  • 治療を続けていくうち、タンパク質が主成分であるため、体内にごくまれに抗体がつくられ効果が減弱する可能性がある。



  • 2.母の場合



    ボトックス注射

    母の注射した場所は右手の上腕部。
    筋肉の深いところに刺すので、ものすごく痛いとのこと。
    固まってしまった右手はもう何も感じないかのようになっていたにもかかわらず、注射針を刺した瞬間、確かに母は顔をしかめました。

    ボトックス注射を打つまでの時間はわずか3分程度。
    母の場合は右腕の内側3カ所。
    強く固まっているため、その場所を打てる状態(見えるようにする)にするのに、多少時間がかかったくらいです。

    実際の効果

    注射してすぐ主治医が「右手が開き始めた」と言い、確かに今まで見ることがなかった親指の全部が見えるようになりました。
    3日後、右の脇に三角のすき間が作れるようになりました。
    自分では動かせないので、私が右腕を動かすことで確認できました。

    開いた右手で、今までうまくできなかった爪切りをしました。
    特に親指の爪は無理無理切っていたため、斜めになっていましたが、指の形にそって切ることができました。

    入浴の際に、右脇部分を洗ってもらいました。


    3.同じ病気の方の経験情報



    とても良い情報をもらったので、ここで共有します。
    教えてもらった方…詳しくはこちら

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    • ボトックス注射を打ったらリハビリを。 緩んだ筋肉の状態で、さらに効果が高まる。

    • リハビリの先生に打った場所と量を共有し、打った場所を中心にリハビリしてもらう。

    • 打った直後から効果が表れて、1週間後くらいがマックス、1ヶ月後には効果が消える感じ。

    • 打つ量により効果が出ないことも。

    • 注射時に、どこにどの量を打ったか、紙に書いて貰い、関係者と共有する良い。

    • リハビリの先生に、注射によって、どこが動かしやすくなるのか解説してもらうとさらに良い。

    • 手洗いに関しては、マッサージして筋肉がほぐれた状態で、ヘルパーさんに石鹸で洗ってもらう。

    • いろんな香りの石鹸を使うと楽しめる。例えば、ラベンダーの香りや南国リゾートの香り。

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    まとめ



    ボトックス注射で母の右手が緩んだら、私はまず一番に、ずっとできなかった「握手」をしてみたいと思いました。

    母はこの病気の症状が出始めてからは、右手に少しでも触れるだけで、飛び上がらんばかりの痛みがあって(本人の申告)、ずっと右手を守ることにしていました。
    そのため、気づけば、右手はぎゅーっと丸くなっていて、握手も、手を繋ぐこともできなくなっていたからです。

    できないことができるかもしれないなら、やってみたいです。

    また右脇を開くことができたので、「コチョコチョ」ってくすぐってみたいと思っています。
    母の脇は今まで閉じたままだったけれど、こそばゆいのかどうか…。母は笑うような反応を見せるのかどうか、それとも迷惑そうな顔をするのか。

    とても楽しみです。

    母はもう話すことができないので、ボトックス注射を打ったらどう違うのか感想を聞くことはできません。
    もしもっと早めにボトックス注射を受けれることを知っていれば、主治医に相談していたのになぁ、と思います。
    神経難病によって力が入り続けているのが、緩んで楽になっていたのではないかと思うところです。

    当然、副作用もあるので、母と話し合える時期だったら、母と一緒に決めていたのにと悔やんでもいます。

    時を巻き戻すことはできないので、進行の状況を早めに知って、前もって対応できることが、最期までできることを少しでも多く持ち続けながら、人らしく生きる方法だと私は思います。
    このサイトが、同じ病気の人のために少しでも役立ちますように。




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