無知だった私はなんの準備もすることなく、母の難病介護に向き合うことにしました。
山登りで例えるならば登山に必要なものを詰めたリュックも持たずに気負いだけで出発したのです。
経緯|「大脳皮質基底核変性症」と診断されるまでに4年
- 先生、右手が痛いんです。こうなんか違和感があるんです。(手を宙にあげて握るしぐさを繰り返す)
- 湿布を出すので様子見しましょう。
- 右手の上から肘までの間に痛みがあります。(手を上げて握るとピクつく様子を見せながら)めまいもあります。
- 検査結果は異常なし、他の科に行った方がいいかもしれないですね。
- パーキンソン病かもと言われて〇〇病院の紹介でここに来ました。手の動きがおかしいんです。
- 歩き方を見たけどパーキンソン病とは診断できないですね。
- 2014年 近所の整形外科を初診。この時点は手の違和感と痛みだけの状況。
レントゲン診断は特に異常なしの状態。 - 2015年 大きな病院へ紹介される。症状を説明するが異常なしと判断される。
同病院で「精神科」「心療内科」「耳鼻科」「整形外科」「脳外科」などに回されて同様に「異常なし」と診断される。
大病院での診察は終了、近所の整形外科へ戻される。
近所で針治療やマッサージなどで対処する。 - 2017年 今度は違う大きな病院へ紹介されて受診するも、異常なしと診断される。
- 2018年 2015年にかかった大きな病院を再診。CTやMRIの画像診断を行うが異常なしという診断結果が出る。
母が強く症状を訴えたので、「パーキンソン病」を専門としている病院を紹介してもらい受診するも、「パーキンソン病」には該当しないので精神面の病院へ行った方がいいと言われる。 - 2019年再再診。その時の画像診断で「大脳皮質基底核変性症」と診断される。
以前に撮った画像と今回の画像を見比べると、明らかに脳の脱落があったこと、手の固縮が始まっていたからということでした。
大脳皮質基底核変性症|症状|母の場合
- 右手に力を入れる動作ができなくなってくる。
例えば瓶の蓋をあける、包丁を持つ、右手で茶碗を持つ、ボタンを留めるなどできないと言う。 - 「めまい」という表現を多用。「頭がくるくるする」「倒れそう」「倒れかけたらそのまま倒れてしまいそう」「体をまっすぐにしているときはめまいはないけど(体が)傾きだすとめまいが激しい」
- 右手をぎゅっぎゅっと握る動作が目立つようになる。
- 意識をしないでも右手をぎゅっぎゅっと握る。
- 右足を着地するときに宙を舞ってから足を下す。
- うつ傾向になるときが多くなる。
- 自分の生活をどうやってしてくれるのかと他力本願になる。
- 右手に少し触れるだけで悲鳴をあげる。
- 右手がむくむ。
- 右手を曲げて胸の前に常に置いておく。
- すべて左手を使うようになる。
- 同じやり方にこだわるようになる。
大脳皮質基底核変性症|介護制度|母の場合
介護認定は発症から3年間は「要支援 非該当」4年目にして「要支援1」に該当
- 右手の痛みやめまいについては介護認定時には見た目にも判定基準を満たさないので「要支援」非該当。
- 右手が使えなくても左手で時間をかければ衣類の着脱ができるため介護認定基準を満たさないので「要支援」非該当。
- ベッドから起き上がる、トイレに行くなどゆっくりだけれどできるので「要支援」非該当。
- 「要支援」非該当でサービスを受けることができないが、誰かの介助を必要とする状態。
4年目にして「要支援1」に該当。不服申し立てを行い「要支援2」になる。
大脳皮質基底核変性症|介護|母の場合
母の家に毎日のように仕事の帰りに寄りやっておいたこと
- 服のボタンをはずしておく。
- 服は着脱が楽なように伸縮性のある生地の服に変えていく。
- 野菜を食べやすい大きさにきっておく。
- 肉類は切って下ごしらえをしておく。
- 鍋に入れて調理はできるため、下処理した野菜や肉類は火を軽く通し冷凍しておく。
- 肉類は切って下ごしらえをしておく。
- 左手でハサミを使えるように練習させる。
- 庭に高さのある杭を打ち、歩くときに摑まれるようにする。
- 手すりの代わりになる棚などを動線に配置し摑まるものが常にあるようにして転倒を防ぐ。
- お財布を大きな袋にする。
- レジではお札の利用を優先するようにして小銭をお札にかえておく。
- キャッシュレス決済をできるようにしておく。
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