大脳皮質基底核変性症の誤嚥性肺炎|母の介護でわかった「むせない誤嚥」と嚥下の変化【介護記録】




大脳皮質基底核変性症の誤嚥性肺炎|母の介護でわかった「むせない誤嚥」と嚥下の変化【介護記録】


大脳皮質基底核変性症の母を介護する中で、最期は「誤嚥性肺炎」が原因となる、ことが一般的情報としてネット上に書かれていることを知っています。

でも、知っているのと、実際に母に起きているのを間近で見るのとは違いますね。

大脳皮質基底核変性症の患者にとって、とても大事なことです。
こういうことができる限り起こらないようにするために、経験ベースで母のことをまとめて記録します。

私たちは何気なく意識しないでやっていること。
でも難病の母にはとても大変なこと、それは辛いと感じる時間でもあり、命に関わる大事なことです。

参考:難病情報センター「大脳皮質基底核変性症」
難病情報センター日本呼吸器学会「誤嚥性肺炎」





1.大脳皮質基底核変性症で起きた「唾液の嚥下」の変化



私たちは普段つばを飲み込むとき、特に意識しなくても飲み込んでいる。
それは喉の筋肉も、飲み込むという反射も問題ないからです。

大脳皮質基底核変性症の場合、固縮などの症状の出ている側(母の場合右側)の喉は麻痺していると、これまでの月に1度の診察の中で主治医から説明を受けています。

実際に喉の中は目に見えないので、わかりにくい。

例えば、何かを口入れても右側だけ脳からの指令がいかないため、嚥下がうまくできていない、ということです。

もしかしたら、左側だけでも正常に動いていれば良いのかもしれない。

でも、大脳皮質基底核変性症の進行が、言語野にまで広がっている状態で、口から物を食べたり飲んだりしない状態が続いていれば、自然と左側の機能を頼ることも少なくなり、機能が落ちていきます。

一番おそろしいのが、喉の反射が正常に起きにくくなるということ。

私たちは、食べ物をベロで口の奥へと送り込み、「ごっくん」とするときには、気管への道に蓋をして胃の方へ送り込む反射が起きている。
これは私たちが意識しないで体が自分の体を守るために行っていることなのです。

つまり、「唾が行くから、気管にいかないように蓋をして」と意識してできることではないのです。

母の場合、「ごっくん」と喉ぼとけを押し上げる力も少なくなってきている状態であり、さらに反射する力が右側はうまく機能しない状態。

だから、気管(空気の道)をふさいで食道(胃への道)へ食べ物を導く仕組みがうまく稼働しない。

気管を塞ぐことが遅れたり、タイミングがずれたり、そして塞ぐことすらできなくなって、気管へと食べ物やつばなどの液体が流れ込み、それがばい菌となって肺炎を起こすのです。



2.「大脳皮質基底核変性症の誤嚥」と「老化による誤嚥」の違い



主治医から聞いたところによると…

大脳皮質基底核変性症で起こる誤嚥は、老化で起きる誤嚥とは異なる、ということ。
老化の場合は、筋力や反射が緩やかに低下していくが、大脳皮質基底核変性症の場合は、急速に起こることもある。

そして、体の仕組みも、実は誰でも誤嚥を起こしやすい形状になっているのだと主治医は教えてくれました。

気管も右側の方が左よりも太く、下方向に近い角度で肺に繋がっているため、唾や食べ物が流れ込みやすい。
左側は少し角度があり(横方向、体に対して水平気味)、そして細いため、誤嚥のリスクは、右側の肺(右の気管支)にある。ということなのです。

主治医が絵を書いて教えてくれました。

前回の入院時や、診察で主治医から、実際の母のレントゲンをみながら、「右側の肺が白くなっている場合」で、母のような状態の患者は、誤嚥の疑いがあると、何度も説明を受けました。

そして「誤嚥性肺炎」と診断されたのです。

母の場合、私たちが意識しないで飲み込んでいる唾でさえ、「ごくん」と音が聞こえ、顔をしかめるくらい、自分の唾に困っている様子が見られます。
これは最近よく見かけます。

喉周りの機能が落ちてきた証拠なのかもしれません。
そういう時期が来たというサインなのかもしれません。
つまりこうやって誤嚥性肺炎が間近に迫ってくるのです。

母は、体が固縮し、後屈気味なので、口があいたままになっている時間が多い。
胃ろうのため、口の機能を使わない。
失語の症状も出ているので、口の筋肉も使わない。

となると唾も少ないのはないかと思うところですが
実は胃ろうで胃の中に食べ物が入っているときに
唾液が増えています。

胃の中で消化する時間が唾液分泌にかかわってきます。

母の場合は、以前膿胸で入院したときに、主治医が消化する時間と一日の摂取カロリーを合わせてくれました。

簡単にいえば、胃の中に長く残さず消化できることを優先する。
唾液分泌を最小限に減らすことを目的にして母の現在に合う量にしたのです。

3.大脳皮質基底核変性症で増えた「痰」と「むせない誤嚥」


唾液の問題だけではありません。
この状態だと、痰も出やすくなります。
誤嚥は唾液だけではありません。

母の場合は、痰が喉の深いところ、気管支入り口付近にまでついていました。 そしてむせを伴わないから、周りは誤嚥が起きていることに気づきにくいのです。
近くにいて注意深く見ていても、わからないのです。

こうやって自分の唾液や痰で誤嚥性肺炎を起こすようになると、命すら危ぶまれるのです。

痰の原因になりやすい口腔ケアについて、看護師さんから聞いた話を次にまとめます。
これは看護師さんが医師から教わったこととして聞きました。

口の中が乾燥していると、「口腔ジェル」を使います。
口腔ジェルを使うと、開いていることが多い口の中が湿り気を帯び、つやつやになります。
口腔ジェルの風味がついているので、嫌な感じはしないそうです。

でもこの口腔ケアのジェルを乾燥しているからといって多用したり、分量を多く塗ったりすると、そのジェルが唾液とまざり喉にへばりつく原因となり、気道閉塞や感染を引き起こすらしいのです。

ではこのジェルを効果的に使うにはどうしたらいいのか、それは塗ってから、拭き取ることが必要だそうです。

実は、これを知っている看護師さんと知らない看護師さんがいました。
施設にいると、拭き取らないままのことがあるからです。

大脳皮質基底核変性症のように、むせを伴わない誤嚥の場合、「異物が来た」とむせて外に出そうという反射が起きないので、喉の奥にへばりついたままになります。

気道閉塞でなく、誤嚥性肺炎を引き起こした場合も、体力もなく、肺炎を乗り越えるだけの体力がないと、深刻な事態を迎えます。

母の場合は、粘り気のある痰、その痰が喉の奥にへばりつき、吸引でも取りにくい、気管支の入り口付近にまで痰が落ち込んでしまう、唾液の飲み込みに音をならすことはあっても、その後むせることは一度もありません。

発熱し、血液検査の結果で感染の値が高く、レントゲンでは右側の肺の上部が真っ白という結果が出るまでわからないのです。

そしてそれは、つい少し前まで、むせもなく、熱もなく、顔をしかめることもなく、うなることもなく、穏やかに過ごしていたのに、です。




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