大脳皮質基底核変性症と嚥下障害のリハビリ|「味」を感じる1年間の記録




大脳皮質基底核変性症と嚥下障害のリハビリ|「味」を感じる1年間の記録


大脳皮質基底核変性症は、言葉を失います。
話すことが減れば、口の周りの機能も落ちます。
そうなると確実に嚥下障害が起き、誤嚥性肺炎を起こします。

主治医からそう言われたのは、今からちょうど1年前。

だから、今のうちに言語聴覚士さんのリハビリを始めておくと良いですよ。

その言葉がきっかけで、母の嚥下リハビリが始まりました。
「何とか嚥下リハビリを」と考えている方にとって役立つ情報となるようにここにまとめ記録します。





1.胃ろうがあっても、嚥下リハビリは必要?



母は胃ろうを造設していました。
命をつなぐ栄養は胃ろうから入る。
だから「口から食べられなくても大丈夫」と言えばそうなのかもしれません。

でも、私たちの目的は違いました。
「口から味を楽しむ」こと。
そして、飲み込む力を失わないこと。

それが、このリハビリの出発点でした。

2.スポンジブラシを使う



週に1回、言語聴覚士さんと一緒に行ったのは、とても小さな動きの積み重ね。
よく聞かれる「お楽しみ」の方法ですが、スポンジブラシに、母が好きだった食べ物の汁をつける。
それを、舌の上にのせる。

すると、唾液があふれ、口の中がうるおう。
そして、ゆっくりとまるで大切に味わっているかのように口の中で転がしている様子。
そして「ゴクン」と飲み込む。

その動きを何度も繰り返しました。
大事なのは会話も楽しむということ。
母と食事をしているように語り掛けます。
そしてこの繰り返しにより、嚥下機能を保つための大切な刺激となりました。

3.「噛む」ことを取り戻す



嚥下リハビリを始めて数か月が過ぎた頃、言語聴覚士さんから提案がありました。

お母さんは歯がしっかりしています。
ガーゼを巻いたものを噛むことでもっと味わうことができるかもしれません。

そこから方法を変更しました。
「ガーゼを巻いたものを噛んで味を楽しむへ」

これは、私たちが日常的に行っている「食べる」という行為と同じです。
まずは鼻で香りを楽しむ。
そして口の中に入れる。
噛む。

噛むことは脳を刺激します。

そして何より、噛むことで香りが口いっぱいに広がる。
これはスポンジブラシで舌の上に乗せることでは実現できないこと。
味が、より深くなるのです。


4.「食べる」は、生きること



私たちにとって「口から食べる」ことは当たり前。
当たり前すぎて、それがどれほど生きる力になっているか、忘れてしまいがちです。

でも母の「食べる」機能が再現されたとき、
それは単なる嚥下訓練ではないと感じました。

味覚は、記憶を呼び起こします。

昔の家族団らん。
好きだった食べ物の思い出。
「おいしい」という感情。
ベッドで過ごす時間に、彩りある時間が生まれたように感じます。

5.表情が語るもの



「おいしい」「うれしい」
もう母には言葉にする力はありません。
けれど、顔を見ればわかります。

穏やかな表情で、もっととせがむように口を動かす。
言葉では表せないような、満ち足りた顔。

逆に、すっぱいものを口にしたときは、眉間に皺を寄せ少し迷惑そうな顔。
言語聴覚士さんも「嫌そうな顔している」と言うくらい。

確かに母は「感じている」。
そして母から表現している。
母から出るやじるしが見える。

もしかしたら失ったのではなく、引き出せていないだけかもしれない。

大脳皮質基底核変性症は、言葉を使うことができなくなるので
「自分から発することができなくなる」。

言葉を使ってコミュニケーションをしている私たちにとって、言葉で表現する力がないと、相手のことがわからなくなる、くみ取ることができないと諦めてしまっている。

この諦めや思い込みが、結局のところ、母の症状の進行を早めてしまっているのかもと思いました。

母が言葉を失っても「何も感じていない」ということではないということです。 ほんの少し手助けをすれば、
その人の中にある力は、ちゃんと動き出す。

私はこの1年の嚥下リハビリで、そう実感しました。

実際に試したもの(記録)

母に使用した味の一部を記録します。

  • コーヒー

  • みかん果汁

  • りんご

  • いちご

  • レモン

  • お菓子の粉 など

安全を確認しながら、言語聴覚士さんの指導のもとで行っています。

言語聴覚士さんと「今度はこれがいいかも」とか「今日のは唾液がたくさん出たからいいかも」とか話しながら食べ物や食べる順番を選んでいます。

まとめ|大脳皮質基底核変性症と嚥下障害リハビリの意味



「嚥下障害を防ぐための訓練」という言葉だけでは、この時間の意味は語れません。

それは

  • 誤嚥性肺炎の予防

  • 口腔機能の維持

  • 脳への刺激

だけでなく、

「自分で生きる感覚を取り戻す時間」

でもあるのではないかと思っています。

詳しい方法について知りたい方は、どうぞご連絡ください。

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