大脳皮質基底核変性症の介護|施設選びのポイント|施設入所で良かったと思うこと
ここ最近、母は穏やかな時間を過ごしていました。
「穏やかに」というのは、大脳皮質基底核変性症という難病の症状はあれど、それ以外の大きな体調変化がなく、毎日がほぼ同じ状態が続いているという意味です。
誰かが話しかければ目を向け、手を上げようとする。
便秘になるのもこの難病の症状のひとつだけど薬で便通コントロールできている。
散歩に出かけたら目を開けて外の景色を眺める。
私の問いかけに反応する。
言語聴覚士さんとの「味覚のお楽しみ」を週1回行うことができている。
けれど、1週間前から微熱が出たり、平熱になったり──
なんだか落ち着かない状態になってきたのです。
そしてこの年末に、看護師から施設担当医に連絡をし、すぐに来て診てもらうことができました。
血液検査を行い、点滴治療が始まりました。
素早い連携で、「この施設に入っていて良かった」と思いました。
「安心して任せられる介護の仕組み」があったからです。
1.体調の変化に気づき、共有し、すぐ動いてくれる施設の安心感
微熱が続くと、施設側では看護師が母の状態を注意深くみるようになります。
それは施設の看護師全員で共有する内容になるようで、どの勤務時間帯の看護師さんが部屋に来ても、私がいればその状況を説明してくれます。
この施設の良いところは、母の様子を私が聞かなくても知らせてくれるところです。
実際に「熱がある」ことは私が部屋に入って母の様子を見ればアイスノンを頭にあてているのでわかるのですが、例えば、「いつから熱があがってきた」とか「便通はあるけど熱が出ている(←過去に便通がないと一瞬発熱していたときがあった)」とか。
私が母の部屋へ向かう途中で声をかけてくれる看護師さんもいれば、
帰り際、不安そうな私を気づかって話しかけてくれる看護師さんもいます。
看護師さんたちは「家族に伝えることは当たり前」と思っているかもしれません。
けれど、その「少しの気づかい」が、申し合わせたわけでもないのに、誰からも受け取れる。
それが、この施設に任せて良かったと思える安心感でした。
母の微熱が続いたので、施設側が施設担当医へすぐに連絡し、診察につなげてくれたわけですが、
この年末年始というタイミング。
すぐに医師が来てくれたことは、家族にとって大きな安心になりました。
施設や施設担当医にとっては「通常のこと」でも、
私たち家族にとっては、「守られている」と実感できる出来事だと感じました。
2.難病介護で施設を選ぶとき、私が大切にしている3つの視点
長期間にわたる難病介護の中で、
「施設に任せることは、母にとって本当に良いことなのか」
そう悩んだ時期がありました。
理由はひとつ。
施設によって対応がまったく違うからです。
「大脳皮質基底核変性症」という稀な病名を理解しようとしない施設、
症状を認知症と一括りにされ、強い薬で眠らされてしまった経験もありました。
そんな経験を経て、今の施設に出会い、ようやく「ここなら」と思えています。
難病は進行性です。
どんな状態にも対応できる施設が理想ですが、難病の様子が自分たちにもわかっていないのに、見合った施設を探すのは至難の業。
入所してみなければ分からないことも多く、失敗を繰り返して、その結果「巡り合えたこと自体が奇跡」だと感じることもあります。
それでも、私が施設選びで重視しているポイントは次の3つです。
1.症状の改善・維持のために必要なサービスを受けられること
母は左脳タイプで、右側に症状が出ています。
運動機能がまず先に低下するため、理学療法士のサービス。
時間をかけて言葉を失っていくため、言語聴覚士のサービス。
症状に合わせて「受けたいサービス」を明確にし、実際に提供してもらえるのかを確認することが重要です。
2.面会規制が厳しすぎず、家族の目で症状を確認できること
感染対策は大切ですが、入所者のメンタルを優先し、家族が面会しやすい工夫をしてくれる施設もあります。
家族の目が届かなくなると、知らないうちに症状が進行してしまうこともあります。
進行してしまうとそれをもとに戻すのは、ほぼ不可能なのです。
症状だけ進行し、でも命は続く。
最期までできることが多い方が良い。
だからこそ、注意深い観察が必要だと思うのです。
3.特定のスタッフさんに依存しなくても満足できる体制があること
親切で、よく話を聞いてくれるし、母のことをよくみていてくれていろいろ気に掛けてくれるスタッフさんに出会うと、心細いので、つい頼りたくなります。
でも介護の現場は、転職や退職が多い業界。
その人がいなくなったとき、「あの人がいたから成り立っていた」と気づくこともあります。
大切なのは、
「その人がいるからこの施設で良かった」ではなく、
「施設全体の体制と雰囲気を信頼している」という視点はいつも大事です。
今回のように、年末年始の不測の事態でも迅速に対応してもらえる。
それこそが、この施設にいる最大の安心感なのです。
まとめ
大脳皮質基底核変性症の介護に、正解はありません。
在宅が良い場合もあれば、施設が合う場合もあります。
ただ、今回の経験を通して私は、
「難病介護における施設入所は、症状に応じて適切なサービスを受けれる場所」であり
母にとって「最適なことをしてあげられる場所」だと再認識しました。
難病と共に生きる時間を、私たちが「安心して過ごす」ためにはなくてはならない選択。
この記事が、同じ病気で悩む方や、その家族にとって、
「こういう介護の形もあるんだ」と思える、ひとつの参考になれば幸いです。
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