大脳皮質基底核変性症介護|右手へのボトックス注射後の診察(2か月後)
母が初めて受けたボトックス注射から2か月が経ち、主治医の診察を受けました。
今回の目的は、これまでの効果の確認と、今後の治療方針を相談することです。
大脳皮質基底核変性症による母の強い症状のひとつが「右手の固縮」。
少しでも改善できればと、ボトックス注射に踏み切りました。
その後は、私と施設のスタッフさんたちの観察をもとに、効果の変化を主治医に報告しました。
このページでは、2か月経過の状態と今後の治療方針について記録します。
1.2か月後に見えた効果の変化
母に現れた様子や変化を私なりに注意深く見てきました。
発熱や体のバランスの崩れなど、心配していた副作用はありませんでした。
現れた効果
胸の前で固く握っていた右手。
その右手と胸の間に、小さなすき間ができたこと。
これが、1回目のボトックス注射で最初に実感した変化でした。
ただし、この診察時(注射後2か月)には、そのすき間はほとんどなくなっていました。
つまり注射の効果は儚く、母の場合、1か月くらいしか持続しなかったということになります。
そして、もうひとつの効果
「右手の指の力が弱まり、握りしめて見えなかった親指の爪が見えるようになった」
という点については、まだわずかに残効果が見られました。
施設スタッフさんたちの反応
施設にいる看護師さんたちに、母がボトックス注射での治療があることを話したところ、
「ボトックス注射を固縮の治療に使うという選択肢は初めて知った」
という声が多く聞かれました。
ボトックス注射は一般的に「美容」で知られているものの、
神経変性疾患の固縮に対して行うケースはもしかしたらまだ少ないからなのかもしれません。
この治療が有効であることを、母の実際の変化を通して実感しました。
施設にいる看護師さんたちも「これだけの効果があるのね」と少しだけ柔らかくなった母の右手の様子を見て喜んでくれていました。
「以前はここを広げようとすると辛そうだったけど、今は少し柔らかいから良いよね」
2.主治医との対話と今後の方針
診察では、主治医が母の腕や手の状態を丁寧に観察し、
私からの説明にもじっくり耳を傾けてくれました。
そのうえで、次のような提案がありました。
「今回は前腕に効いているので、次は上腕に効くように打ちましょう」
「現在の量よりも少し増やせると思います。強い固縮を少しでも緩めていきましょう」
「左手は固縮が始まっていますが、まだ動かせるので、いま打つと力が弱まってしまうため今回は見送ります」
また、主治医からはこんな説明もありました。
ボトックスは、正しい筋肉の位置に、適切な量で注入しなければならないので調整が必要になります。
一度作用すると数か月間その状態が続くので打つ筋肉の場所が少しずれても修正がききません。
お母さんの場合、ぎゅーっと抱え込んだ右腕の内側の筋肉に打つため、注射困難な場所になります。それも含めて、医師の技術と経験がとても重要なんです。
この言葉からも、ボトックス注射の難しさと慎重さが伝わってきます。
さらに、主治医によると、
70〜75歳くらいまでの方では、手に打つだけで足の可動にも良い影響が出ることがあるそうです。
ただ、母の年齢ではその効果は見込めないとのことでした。
まとめ
次回のボトックス注射では、上腕への効果も期待しています。
いつでもぎゅーっと力が入って抜けない母ですが、少しでも体の力が抜け、楽になるなら——
それだけで母にとって効果大。
施設スタッフさんたちに今まで届かなかった部分を清潔にしてもらえたり、外出するにあたって、防寒具の着脱が少しでも楽になれば。
難病指定である大脳皮質基底核変性症。
完治することはなく、個人の症状がまちまちであることも特徴です。
そのため対処療法に限られ、進行具合とともに症状を緩和する最適な治療が望まれます。
でも実際にはその治療情報が少なく、できるだけ早めに開始できれば本人にとってベストだと思うのです。
同じ大脳皮質基底核変性症に罹患している方の大きな希望になればと思っています。
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