
大脳皮質基底核変性症介護|右手へのボトックス注射その後【1か月経過】
大脳皮質基底核変性症の母は、先日初めてボトックス注射を受けました。
これは、固縮した右手を少しでも和らげるための治療のひとつです。
病院からの説明書には、
「この薬の効果は2〜3日から2週間で現れ、通常3〜4か月持続します」
と記されていました。
ここでは、注射から1か月が経過した母の様子を、施設スタッフさんや看護師さん、マッサージ師さんからの聞き取りも含めて注射後1か月を記録します。
1.効果の実感
母に現れた様子や変化を私なりに注意深く見てきました。
当日
注射後、主治医が数分後に確認したところ、「右手が開くようになった」とのこと。
実際に右手を開いて、手のひらを見ることができました。
これは「狙って打った筋肉注射が当たっていた」ということで効果が期待できると言われました。
この注射の箇所を少しでも間違えると効果が出にくいらしいです。
〜1週間
右腕を横に動かすと、脇に小さな三角形の空間を作れるようになった
入浴時に脇の下を洗ってもらえるようになった
握りしめていた親指の爪を切ることができた
マッサージ師さんから「右腕あたりが柔らかくなった」との連絡あり
看護師さんから「褥瘡予防や固縮にタオルを差し込みやすくなった」「こういう治療があることを知らなかったので勉強になった」との声
私がしたかった「握手」ができるようになった
〜1か月
いつのタイミングからか、胸と右手の間にすき間ができるようになりました。
マッサージ師さんから「柔らかさが持続している」と連絡あり
施設スタッフさんから「服を着せるときに右腕を通しやすくなったから、ご本人も着替えの際の不快な気持ちが少しは減ったのでは」
2.副作用について
病院からは「治療後に脱力感や筋力バランスの変化による転倒などが起こる可能性がある」と説明を受けていました。
母の場合、目立った変化はありませんでした。
本人から訴えることができないため断定はできませんが、唸り声や車いすでのバランス崩れなど、目に見える副作用はありませんでした。
3.1か月を振り返って
初めての治療だったため、当初は「バランスを崩して車いすに座れなくなるのでは」と心配していましたが、そのような変化は見られませんでした。
ただ、期待していたように腕全体が柔らかくなり可動域が広がる、腕を下ろせるようになるといった効果はありませんでした。
これは、母の固縮が強くすでに全身に広がっているためだと思われます。
「もう少し早い段階でボトックス注射を試すことができていたら、固縮の進行を抑えられたのかもしれない」
「母自身から注射後の感想を聞けていたら、治療をより効果的にできたのかもしれない」
そんな思いも残ります。
まとめ
大脳皮質基底核変性症は、現時点で完治することはできません。
治療はすべて対処療法に限られ、しかも症状の出方は人によって異なるため、確立された方法がないのが現状です。
それでも、少しでも症状を和らげたり、現状を維持し続けるためには、患者の周りにいる人たちが情報を集め、医療やケアに提案していくことが大切だと感じました。
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