大脳皮質基底核変性症の介護記録|家族でもできる嚥下マッサージ




大脳皮質基底核変性症の介護記録|家族でもできる嚥下マッサージ

このページでは、大脳皮質基底核変性症の母がお世話になっている言語聴覚士さんから教えてもらった家族でもできる簡単嚥下マッサージについて記録しています。

最近の母はベッド上で過ごす時間が増えてきました。
寝ている時間もあり、起きているときもあり。

起きている時は、天井をボーっと見ていたり、ラジオの音を聞いていたり、部屋の外の音を聞いているのかなと思うこともあります。

そんな状況の母が穏やかな時間を過ごす中で、リラックスできて幸せを感じる時間を持てたらいいなと思い、私は試行錯誤をしながらそのきっかけを探しています。

さて、今回は母のところに訪問してきてくれる言語聴覚士さんに教えてもらった家族でもできる簡単な飲み込み力のもとになるマッサージについて記録します。

私たちが当たり前にやっている飲み込みですが、0.5秒の間にとても多くの筋肉が一緒にグッと動いています。
それらの筋肉が硬いと飲み込みがうまくできなくなっていきます。

言語聴覚士さんが母の肩から喉あたりの状態を説明してくれます。


力が常に入って後屈気味な姿勢は顎があがって顎から喉下までの距離が長くなってしまい飲み込みにより多くの力が必要になります。

そこでできるだけ正常な状態にし飲み込みのクオリティが上がるように、

  • 後屈気味を改善し、

  • 首下の筋肉を緩め、

  • 喉周りのマッサージを行う

という3ステップで行う方法を教えてもらいました。



参考:難病情報センター:大脳皮質基底核変性症とは<外部リンク>



1.マッサージの目的

大脳皮質基底核変性症の進行により硬くなった嚥下に関わる筋肉を刺激し、動きをスムーズするような言語聴覚士のリハビリを受けることで

  • 唾液の分泌促進し口腔内を潤し飲み込み機能を維持する

  • 常に力が入って緊張しているのをリラックスする時間を持てる

  • 誤嚥によるむせを起こしにくい状態を維持する

などの効果を期待することができます。

今回のマッサージはベッドで寝ている状態で行う方法です。
簡単マッサージとはいえ、母の体調をしっかりみながら行います。
体調が悪い時は無理をしないことが大前提になります。

ベッドはリクライニングせず平らな状態にします。
寝ている母の頭側にまわり、母の顔を覗き込むような姿勢で両手を使って行います。
手の力を強くしないで行います。



2.マッサージステップ1(後頭部)



後屈気味だと喉の距離が長くなります。
できるだけこの距離を正常に戻してあげるように行います。
確かに、上を向いてゴクンするのは私たちでもやりにくいですね。
指1本に力を入れるのではなくて、複数本の指全体で少し押し上げる気持ちで行います。

恐る恐るやっている私に言語聴覚士さんはアドバイスをくれます。


難しければ、この辺りを触るだけでも筋肉は緩んでいくので、ゆったりした気持ちで行ってください。





3.マッサージステップ2(首下)



鎖骨と背中と筋肉が繋がっていて、どうしてもこの辺りが力が入りやすいので、まずはここをマッサージしていきます。

そして、言語聴覚士さんは見本を見せてくれました。


手を広げた状態で鎖骨下の胸のあたりに手を乗せて、お母さんの息を吐くタイミングに合わせてふーっと優しく押します。
お母さんが息を吸うときには手の力を抜いて添えているだけにします。

母の呼吸に合わせて何度か繰り返すと良いと教えてくれました。


何度か行うと筋肉が緩んできて、呼吸の量が大きくなってきます。
呼吸の間隔が短い(呼吸が浅い)と息苦しい状態なので、できるだけ正常に近づけるようにするとお母さんも楽になります。





4.マッサージステップ3(喉周り)



ステップ1,2で筋肉が緩んで動きやすくなった状態で次は喉周りのマッサージ。

喉ぼとけの周りに筋肉がいっぱいついていて、そのあたりが硬いとどうしても飲み込みがうまくいかなくなります。

母の顎の下を触りながら言語聴覚士さんの教えが続きます。


ベロの付け根から喉ぼとけの真上ぐらいまでベロが繋がっているので、顎の裏側のこの辺りを下から上に持ち上げるように数回触っていきます。

母はとても気持ちよさそうにしています。


自分でベロを動かす回数が多いわけではないので、こうやって少し触ってあげると刺激が入ってつばをゴクンと飲んでもらう動きが出てきます。

言語聴覚士さんの「ゴクンしてください。」の声に母の喉ぼとけが上下しゆっくりゴクンしたのがわかりました。


すごーい!ちゃんとゴクンした!

思わず拍手をしてしまいました。






まとめ

大脳皮質基底核変性症の母は、筋肉がぎゅーっと固まって常に力が入っている状態になっています。
症状が先に出てきた右側だけではなく最近は左側に出てきています。

そのような体の状態に加えて失語の症状も加速し、口周りの筋肉を動かすことが少なくなってきました。

そうなるとベロの筋肉も硬くなり、確実に誤嚥の可能性が大きくなってきます。

そこで言語聴覚士さんから家族でもできる簡単な嚥下マッサージを教えてもらいました。

「寝たきりになったら、起きている時間は天井だけを見ているだけの生活しかない!」のではなく、ほんの少しの働きかけで、母がリラックスできる時間が増えるのなら・・・

リラックスできることで母が少しでも穏やかに幸せなひと時ができるなら・・・

私の素人のマッサージで母が本当にリラックスできるかどうかは別にしても、母と触れ合うスキンシップの時間ができるので、母だけではなく私もリラックスします。

また昔話をしながら母が元気だった頃や私が小さかった時のことなど話します。
母からの話しかけはないですが、たまに何かを言おうとするのでもしかしたらその頃を思い出しているのかもしれません。

「寝たきりの時間にも意味がある」と思えるような、今しかできないことを見つけて介護の中にも楽しみを見つけようと考えています。

他の記事はこちらから…介護記事一覧

ページトップへ戻る