大脳皮質基底核変性症|半側空間無視と病態失認




大脳皮質基底核変性症|半側空間無視と病態失認

今回は主治医に教えてもらった半側空間無視と病態失認について記録します。

大脳皮質基底核変性症の症状に「半側空間無視」があります。
「半側空間無視」とは「片方の空間に在る物を見落としてしまう(※1)」ことです。

例えば食事の際に食べ残しているのかと思えても、「実は半側空間無視により左側のお膳の食べ物に気が付かない場合があります。(※2)」

以前より母もそうなのではないかと思うことがあり主治医に質問してみました。

※1 引用:大脳皮質基底核変性症(CBD) 診療とケアマニュアルVer.2 4.どんな症状があるのでしょうか? 饗場郁子
※2 引用:
大脳皮質基底核変性症(CBD) 診療とケアマニュアルVer.2 11.介護の留意点はなんですか? 村井敦子





1.どうしてこの質問をするのか



母には半側空間無視という症状はありますか?

どうしてこのような質問をするのかというと
半側空間無視の場合、「左側を」見落とすと多くの場合、いわれているからです。

母の場合、これまでに「右側が」見にくいのかなと感じることがあり、例えば食事のときにはスプーンは必ず真正面もしくは左側から見せるように、意図的に行ってきました。


大脳皮質基底核変性症は症状に左右差のあることが多く(顕著な一側優位性)、つまり「左右非対称的な大脳皮質の萎縮が認められ(※3)」、母にも当てはまります。

母の場合、左脳が萎縮しており、右側に強く症状が出て、左側の脳がつかさどる話すことに影響(失語)が出てきています。

大脳皮質基底核変性症の場合、どちらの脳に萎縮が認められるかによって起きる症状が異なります。
この大脳皮質基底核変性症の特徴としていえるのは、同じ病名であっても、まるで別の病気かと思えるほど、本人の困りごとはまったく異なるということが起きます。
介護する側も留意することが異なってきます。

母の場合(左脳タイプ)、「右側が見えにくい」のでは?と思ってきたことがもしかして私の勘違いだったかもしれないと感じたため主治医に確認してみたのです。

参考:大脳皮質基底核変性症(CBD) 診療とケアマニュアル Ver.2 11.介護の留意点はなんですか? 村井敦子
※3引用:大脳皮質基底核変性症(CBD) 診療とケアマニュアル Ver.2 5.どんな検査所見がありますか?(画像など) 高橋良輔


2.半側空間無視と病態失認

お母さんのように左脳がやられている場合にも出ることは出る。

ただし、劣位半球右脳の方が強く出ることがわかっています。

お母さんにあるかどうか、については、お母さんは失語の症状が出ているため具体的に表現する方法がなく、お母さんから聞き取ることはできない現状なのでわかりませんが、あることはあります。

以前は右側、例えば右腕をひどく痛がるとか、右手に何か当たったりしたときに痛みを感じていたと思います。
でも今は固縮した手を掴んでも、打っても「痛い」とか痛そうな表情をすることはないと思います。
確かに、右腕や右手に触っただけでも痛みを訴えていたのに、最近は右手を掴んでも何も言わないです。
病態失認といって半側空間無視とともに自分の右側に何が起きているのかわかりにくい状態になっています。
半側空間無視と病態失認は違うのですか?
違います。これがセットになって出てきています。
脳の後ろにあるのは自分の病気を認識するところです。
その少し前にあるのが半側空間無視の部分です。
両方がセットになっておそらく出ています。

そして主治医の話は続きます。

お母さんの場合、右脳と左脳を見比べた時に大きな差を認めるのが左脳ですが、これが仮に右脳だった場合、言葉はちゃんと話すことができていたでしょう。
嚥下や咀嚼も保たれていたでしょう。
半側空間無視や病態失認は右脳の場合強く出ると言われます。

それは言葉が話せるのでコミュニケーションをする中で「様子がおかしい」と自分で表現できるからです。
周囲に対して半側空間無視が起きた時に言葉で表現することができるのです。
つまり本人も周囲も認識することができるからです。

でもお母さんの場合(左脳タイプ)、話すことができないので、「なんだかおかしい」と表現できないし、そもそも病態を認識できなくなっているので、本人も周囲もわからないままになることが多いのです。


3.目の動き

今日の車いすでのお母さんの姿勢を見ると、重心がずれていますね。
これも病態失認の現れのひとつです。
右側がわかっていないからです。

とはいえ、まだ目は両方を見ることができます。
これが症状がさらに進むと左側ばっかり目を向けるようになります。
目が左側に寄っていく。
これは末期の症状のひとつなのですか?
この目の動きは症状悪化のサインです。
寝たきりになる頃に出てきます。
私でも気づきますか?
誰が見てもわかります。
この症状が出てきたら悪化のサインです。

4.まとめ

大脳皮質基底核変性症には「半側空間無視」という症状があり、母にも起きているだろうとのことです。

併せて病態失認という症状と共にあるとのことです。

ただし、母はその様子を知らせたり、表現したりすることができないので、主治医は母に確かめたくても確かめようがないとのことです。

主治医から目の動きで進行具合を確認していると聞きました。

最近の母は目を開けて周りを見ますが、長く見続ける(目を長く開けている)ことは困難な様子です。
すぐに目を瞑ってしまいます。

もしかすると目の動きが思うようにできなくなっているのかもしれません。

でも母に確かめたくても口数が最近めっきり少なくなってしまったので確かめることができません。

失語の症状も確実に進行しています。

この病気はゆっくりと進行するのが特徴ですが、母もゆっくりと進行しています。
日々見ればリハビリを積極的に行って進行を遅らせているつもりでいますが、期間で区切って見れば確実に進行しているのです。

そんなことにふと気づきました。




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