大脳皮質基底核変性症|CT検査のその後
このページでは大脳皮質基底核変性症を患う母の闘病記、CT検査のその後について記録しています。
・難病情報センター:大脳皮質基底核変性症とは<外部リンク>
先日の通院では、4年ぶりに脳のCT検査を受けることになりました。
そして、主治医からCT検査結果の説明を受けました。
その内容は
「大脳皮質基底核変性症」が進行していること
「大脳皮質基底核変性症」を決定づける左右差のある脳の萎縮が左脳に起きていること
右側の運動を司る部分、言葉を話す部分、言葉を理解する部分が萎縮している
とのことでした。
それを裏付けるかのように、母が静かになってきました。
そこで、私は母の会話の様子をもっと注意深く観察してみることにしました。
母の会話の観察
私は母の会話の様子についてよく観察してみることにしました。
母からの話しかけ(自発的)
母に質問をしたら答える(受動的)
【母からの話しかけ(自発的)】
母からの話しかけはどれくらいあるんだろうかとふと疑問になりました。
ここのところ私が話題を提供して母に話をしてもらいやすくすることに気を掛けてきたからです。
母は施設内で会った看護師や介護士や訪問医に自分から挨拶をします。
月1度、病院へ出かけるときには病院内ですれ違った人には挨拶はしません。
当然のことかもしれませんが、母が前から来る人が自分にとって関係のある人かどうかをちゃんと判断しています。
つぎに、私に対しての話しかけは、前のように体の痛みや不安や心配事などのマイナスな話を訴えることはとても少なくなりました。
感覚的に言えば以前の1割くらいに。
車いすに自分の好みの姿勢で座らせてもらえなかったときくらいです。
そして私に振り向いてもらえるように「るしこちゃーん」と呼びます。
でもただ以前よりは少ない。
そして私の名前をちゃんと言えることを確かめているようなときがあります。
また、施設内の職員の人と私が話していると母がその話に混ざってくることもあります。
無関心なたたずまいで車いすに乗っているので聞いていいないかと思えば、ちゃんと人の話を聞いて理解し、自分の意見を言います。
突然の発言に「聞いていないかと思った」というと「ちゃんと聞いているよ(笑)」と言います。
【母に質問をしたら答える(受動的)】
私から話題を出して会話をするとき、母はちゃんと考えて答えます。
少し間があります。
話し難い感じです。
言葉が出にくそうで、辛そうで、そしてそのまま口を閉じます。
大脳皮質基底核変性症には構音障害があるので、きっとその状態ですが、正しく聞こえないときがあります。
言葉を聞き取って確認すると、違う場合はまた伝えようとしますが、もう一度聞き返して自分の言いたいことと違うとき、それ以上は口を閉じます。
何かのときに「私はうまく話せないから」と淋しそうにいいます。
他に気づくことは、私の質問を使って答えることが多くなりました。
おうむ返しのような。
例えば
「今日は元気?」という質問に対して「今日は元気じゃない」。
私が「今日はケアマネさんが来るんだって」と言えば「今日はケアマネさんが来るんだね」。
- 何が食べたい?
- ラーメン
- 他に何か食べたいものはある?
- お寿司
- 他には?
- うなぎ
- お寿司、ラーメン、うなぎの中で一番食べたいのは?
- ・・・・
- ラーメンが一番なの?
- ラーメンが一番じゃない
- お寿司が一番なの?
- お寿司が一番なの
おうむ返しかと思いきや、ちゃんと自分の意志が入ります。もしかしたら自分で答える言葉を探すのを簡便にしているのかもしれません。
自分から話すとき、話しかけられて答えるとき、どちらも共通しているのは、声が小さくなってきました。
どれくらいの大きな声が出るのかわからないくらいです。
脳の萎縮がどう症状としてあらわれてくるのか。
そこが問題です。
私が父や母の介護をしてきた経験の中では毎日同じ状態で過ごしていくけれども、これを期間(1か月、3カ月、半年)で考えると確かに状態が悪くなっていると思うことが多く、日常では大きな変化を感じることはほとんどありません。
1か月前と比べると自分からの自発的な話しかけは確かに少なくなっている気がします。
でも気づいたことは、ベッドに横になっているときよりも車いすに乗ったときの方が断然、会話がはずみます。
2.ケアマネに相談
CT検査の結果をケアマネさんに伝えて、その際に「言語療法士に来てもらいたい」とお願いしました。
これは前回の通院時に同行してくれる介護士さんに
嚥下機能が今どうなっているのかを知る
その上で嚥下機能をどう維持していくかを考える
ことが良いのではないかと教えてもらったからです。
確かに現在の位置を知ることで、今からの対策を考えることができます。
とろみは3段階あります。
①薄いとろみ(スプーンを傾けるとすっと流れ落ちる)
②中間のとろみ(傾けるととろとろと流れる)
③濃いとろみ(傾けても形状が保たれ流れにくい)
引用:ナース専科「第11回 摂食嚥下障害の臨床Q&A 「とろみの加減はどの程度?」(外部リンク)
例えば、母が①のとろみの段階で良いのに、③でとろみをつけていると、口からの食事の誤嚥リスクが下がるかもしれません。
でもとろみがきつくなれば普通に食べたときの味を感じることが鈍くなってしまい、「おいしい」という気持ちを忘れてしまう、食欲がなくなってしまうというデメリットが強くなります。
「何をやっても改善はできませんよ」と施設看護師から言われましたが、私は改善ではなく維持を大事にしています。
毎日同じ状態を保つ工夫をしながら、ゆるやかな下降線を描きながら最期を迎える、その間に母と私の時間を持ちながら、母の記憶の中に楽しく過ごした時間を残していくということを目標にしています。
私がほんの小さな希望を持って母のそばに寄り添っているので、その希望の灯を消えないように工夫をしていきたいと思います。
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