未来の自己を支える秘訣|親の介護経験から得た3つの貴重な教訓
親の介護が始まってから、10年。
その間、数えきれないほどの戸惑いがありました。
突然始まる親の不調。
そこからあれよあれよ介護が必要な道へと入っていくのに待ったなしで、子育てや仕事とと並行して介護を行わなければ状況に追い込まれていきました。
でも今振り返ると、介護の経験を通して知ったこと、学んだこと、身についたことが、おそらく私の未来に起きるであろう介護される生活に役立つかもしれないことがあることに気づきました。
親の介護をやったからこそ得た経験値、介護経験から得た「自分の未来を変える教訓」について3つにまとめました。
1.前もってセルフケアをするべし
「老い」は誰でも平等にやってきます。
親のその過程を見ていると、やってくる「老い」を受け入れる心構えも必要ですが、「老い」に対して前もって予防をしておくことも必要だと感じています。
健康状態が介護の質に直結することを実感します。
例えば、自分で立つこと歩くこと。
いつまで自分の体を自分でコントロールできるかが、介護では明暗をわけます。
私は筋力の低下を意識し、週に複数回ジムに通って効率的に筋トレをしています。
無理せず長くトレーニングを行うことでサルコペニア防止をしています。
女性は男性より健康寿命と平均寿命の差が大きく不健康な時間が長いとされています。
内閣府男女共同参画局:第2節 男女の健康支援
平均寿命と健康寿命<外部リンク>
厚生労働省:サルコペニア<外部リンク>
また口内健康のために歯科に定期的に通っています。
歯は歳を重ねると何かしら不調が起きます。
両親の介護の本当の始まりは口内の不調だったような気がするからです。
自分の口で食事を楽しむことは老後を穏やかに楽しく生き抜く重要な行動です。
朝日新聞 Reライフ.net:おいしく食べ続けるために必要な「自食力」とは? 日本歯科大学教授 菊谷先生インタビュー<外部リンク>
目の病気も両親の活動チャンスを奪うものでした。
目が見えにくくなると転倒の心配が増えじっとそのままにしていることが多くなり、行動のやる気を失います。
友達とメールのやり取りをして楽しんでいた両親ですが、画面の文字が見えにくくなった頃から携帯を手にすることがなくなりました。
またテレビをみて世の中の情報を仕入れていたことも、見えにくくなった時点で見続ける根気を失い、外界からの刺激がなくなりました。
株式会社マイナビ:年を取ると視力はどう変化する?目の老化と高齢者が見えている世界|みんな知らない高齢者の世界<外部リンク>
若くいるために肌の状態やシミ、皺に目が行きがちですが、それ以外にもセルフケアをする必要があると心得えます。
とくに親からの体質や生活習慣を常態化して生きていくので、親の辿った道と同じになるかもしれません。
同じ病気を経験するかもしれないので備えることを忘れないことが重要です。
2.ポジティブシンキングを習慣にするべし
「老い」はできなくなったことを長い時間をかけて受け入れていくことだと思っています。
常に不調が続くようなものです。若かりし頃の元気な体を軸に考えると「ほぼすべて不調」になります。
時間を長く生きていればガタがくるので当然ですが、それでも人はできないことに目が行きがちです。
「人は不幸なことはすぐ気づき、幸せなことは失ってから気づく」
できなくなったことはすぐ気づきます。
落ち込んだり悩んだり苦しんだり、できないことがわかったときの当然の感情なのですが、その状況を和らげる対処法を知っておくことが大事だと思っています。
難病罹患した母は右手が動かなくなり利き手を失いました。
「大好きなリンゴを食べたいが両手じゃないと剥くことができないから食べることができない」
「財布からお金を取り出せないからレジでお金を支払えない、買い物に行くことができない」
など受け入れることができず深い闇へと落ち込んだことがあります。
でも
「カットしたリンゴを買えば大好きなリンゴを食べることができる」
「人前でも堂々と財布を口でくわえて左手でファスナーを開ければお金を取り出せる」
「カードで購入すればいい」
「できることがあるから努力を続けることができる」
と開き直るまでに相当の時間がかかりましたが、ポジティブな姿勢は人生の先輩として見習うべきものだと思っています。
母は「できないことを人に見せるのも辛いし、「できないから手伝ってほしい」と言うことはできないことを当然として正当化していると誤解されてしまうかもしれないこともあって、難しいのよ」と言いました。
本音はこれだと思いますがそれでも自分の気持ちをコントロールする一つの方法としてポジティブシンキングが重要である実例として捉えています。
3.不自由な生活を工夫するノウハウを持つべし
視点を変え少しでも快適に生活できるノウハウを持つことは、できないことをできることへ変えることができます。
左手を使って行動しやすいように家具の配置を変えること
左手でつかまれるものを増やすこと
左手で字を書くときはにもう片手の役割を重しに任せること
ハサミは左手用のものに変えること
開けやすいように戸を最後まで閉まらないようにする
などこれらは一例にしかすぎません。
できることを活かす工夫力を両親の暮らし方から学び将来自分の老後生活の参考にすることができます。
まとめ
年齢を重ねて自分の心身が衰えていくのは自然な成り行きとはいえ、できなくなったことを受け入れて老後の不自由な生活を自分の力で生き抜いていくことが、人にできるだけ頼らず自由な生活を続ける秘訣です。
健康状態が介護の質に大きくかかわってくることが親の介護をしてきて実体験で得たことです。
自分で何でもできる自分と、思うように体が動かなくなった親とは、生活に大きな差が生まれます。
自分視点で考えるとその不自由さを想像することすらできないものです。
親の介護をする生活には肉体的にも精神的にも限界もあり、正直投げ出したくなることも多く存在します。
きれいごとでは終わりません。
でも親の介護の経験値を得たのであれば、老いても人生を長く楽しむ秘訣として捉えることができます。
できるだけ長く、自分のことは自分でできる状態を保ち続けることが、自分らしく命のある限り精一杯生き抜くことになるのだと思います。
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