大脳皮質基底核変性症|心がけていること|介護の三原則




大脳皮質基底核変性症|心がけていること|介護の三原則

このページでは大脳皮質基底核変性症を患う母の闘病記、介護をするにあたり心がけていることを介護の三原則と合わせて記録しています。



「介護の三原則」とは
介護の三原則は、介護を行う人が基本とするべき以下の3つの考え方を指します。
1.生活の継続性
介護を必要とする人が、住み慣れた生活環境や生活リズムを突然変えることなく、できるだけそれまでの生活を継続していけるようにサポートすること。

2.自己決定の尊重
介護を必要とする人が、自分の暮らし方や生き方を自分で決められるように支援し、その決定を尊重すること。

3.残存能力の活用
何でも周囲が手伝ってしまうのではなく、今ある能力を最大限に使い、自分でできることは自分でやってもらうこと。
かいごGarden<外部リンク>より引用





大脳皮質基底核変性症はゆっくりと症状が進んでいくことが特徴で介護が長期に渡ります。
難病の親の介護とはいえそれ以外の場合の親の介護と比較しても、出現した症状に対応する必要があるという点では同じです。
母の場合、難病を理解することで、ある程度出現する症状や時期が予測できるため、それを見越して前もって対応することができるのかもしれません。
母ができるだけ寝たきりにならないように心がけていることは施設と共有しています。

難病情報センター<外部リンク>:大脳皮質基底核変性症とは





1.介護の三原則:生活の継続性

大脳皮質基底核変性症は片側の上肢に症状が出ることから始まり、片側に強く症状が出ることが特徴です。
母の場合、右手の痛み、違和感から始まりました。
そのため、部屋の配置は右側をかばい左側を優先するようになっています。
半側空間無視があるため、見える側に物を配置しています。
施設を移動した時には、部屋の配置は同じ形のタイプを選択し(例えば手洗いは入り口を入った左側にある)、母が行くトイレの手すりの位置(トイレに座ったときに手すりは左側にある)、ベッドに寝た時に部屋に差し込む光などできるだけ同じになるようにしました。

  • 部屋において窓の位置

  • 出入り口の位置

  • 手洗いの位置

  • ベッドの配置

  • 手すりの位置

  • 机の配置

  • 冷蔵庫の位置

  • 歯ブラシやタオルの位置


極力同じ配置になるようにすることで住所は変わっても部屋の中は同じような空間であれば、無意識に行動するときの助けになります。

また、人との関わりも同じにするために、訪問リハビリや訪問歯科もそのまま引き継げるようにしました。
同じ人が関わることで施設を移動しても、1週間のスケジュールとして考えた時に同じような時間と関わりを過ごせるからです。
施設を移動する場合、環境が変わったという負担を少しでも減らすことで、新しい環境で順応を早め母が部屋の中で落ち着いて過ごすことができました。

2.介護の三原則:自己決定の尊重

母の介護をするにあたり、母の生活や生き方に関わる大きな選択をするときがありました。
例えば、施設を移動する、服薬変更、実家じまいなど。

母の意志をもって私が対応してきました。
以前はコミュニケーションを取れていたので母が決定したことを私が代行することで良かったのですが、最近は大脳皮質基底核変性症が進行し、言葉がうまく出なくなってきました。主治医が言うようにこの病気は頭の中はしっかりしているけれどそれを表現することができなくなるので、うまく母の気持ちを聞き取ります。

他に母の小さな自己決定を積み上げることを意識しています。
生活の中で本当に小さな選択です。
例えば、「おやつを一緒に食べよう、チョコレートとグミ、どっちがいい?」と聞きます。
母はその時の気分で食べたい物を自分で決めて答えます。
他には「ベッドから起きてお話する?それともそのままベッドで寝たままお話する?」
「お散歩コースはこっちに行く?それともあっち?」
などです。
たまに「どうしてそっちを選んだの?」と聞くと

例えば
「今日はお花を先に見たかったからこっちから行きたかった」など自分が選んだ理由を答えます。
自分で決める小さなことが、人にやらされている、人に任せる、ではなく、自分で考えて決めるという意識を持ってもらうようにしています。

3.介護の三原則:残存能力の活用

今の状態をできるだけ維持することは私が考える現在の母の最優先目標です。

主治医から言われている
「この病気はそのうち言葉を失う」
「この病気の末期の症状で、口の筋肉の衰えから嚥下障害が起き、話をしにくくなる」
「そして神経細胞が脱落により失語となる」

この病気に起きる症状だとわかっているので、母が言葉を話す場面を増やしそれをできるだけ続けていくことを目標としています。


  • 母との会話を盛り上げるために昔の話をしてみる

  • YESかNOかで答える質問ではなくオープンクエスチョンにする

  • 「どうして?」と聞いてみる

  • 構音障害で聞き取りにくくてもできるだけ意味をくみ取ろうと諦めない

  • 「言っても聞き取ってもらえない」という気持ちを抱かないように私の態度に気を付ける


母と会話して意思疎通ができる残された時間を少しでも長くするために精力的に行っています。


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