10年もの介護をやってきてわかった。あらかじめ知っておきたかった親の介護をしていると直面する6つの「変化」のこと




親の介護をしていると直面する6つの「変化」

父は認知症(他界)、母は難病(大脳皮質基底核変性症)。
10年もの介護を振り返ると、あらかじめ知っておきたかった親の介護をしていると直面する避けられない「変化」があります。

「介護」は実践なのでどうしても対処療法的な対応をしてきました。
何が起きるか予測できなかったので何か起こる度にそれのベストだと思う選択を行ってきたのですが、どうしても先が見えない長期戦のため同じ状況がずっと続くとは限りません。
何かが起きて対応するのは悩んだり面倒だったり、ベストな選択だと思ってもその時限りであることも多く、落ち着くこと安定し続けることが多くありません。
「変化」は時に人を疲労させるので、できれば何も起こらない毎日そして同じ状況を望むのが本音ですが、親の介護をやっていると必ず直面する「変化」があります。



1.入所施設のこと

父の介護の時も、母の時も、施設入所が決まったとき私は「ここで親は最後までお世話になるんだ」と思いました。
施設入所の際には看取り希望の聞き取りまでありますので私はそう思い込みました。
ところが本人の状態変化により入所施設では対応できるサービスがない場合が出てきます。
その場合は長年住み慣れた施設を出て新しい環境へ移動しなければならないことが起きるということを経験しました。
新しい施設を探し入居可能かどうかなど相談する時間も労力も必要になります。
一度見学に行かなければならない場合もあります。
たいていの場合、「本人を見たい」「本人と面会をしたい」と言われてその結果をもって入所可能かどうか判断すると言われました。
また施設を移動するときには、ある項目について健康診断をしてその結果を見てからしか移動できない場合もあります。
その健康診断を受けに連れていくだけでも大変です。
お金も時間も労力も必要です。

施設のタイプは民間、公的施設。それぞれの種別があり、要支援度、要介護度の程度により入居条件が設けられています。
その当時の体の状況などで入居の場所を決めるのですが、例えば要支援2の場合、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに入居できます。
そこで症状が進み要介護度4になってしまうとそこでの生活が難しくなり、他の特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームへ転居しなければならなくなります。
一度施設に入ったら介護する側は少し安心できるのですがそれが必ずしも最後まで続くとは限らないというを経験しました。

2.親の症状のこと

時間経過ととも老いが進み状態や症状が変わります。
父の場合は誤嚥性肺炎を繰り返したため病院へ入院している間にそれまでの施設を退所せざるを得なくなりました。
また胃ろうをしないと入所できない施設が多く、胃ろうができるかどうか病院で検査をしました。
結果、体の状態で胃ろうをすることができないことがわかりましたが、それにより父の入所先がなかなか見つからずで本当に苦労しました。

母の場合は難病の症状があまり出てきていない時に「生活の見守り」が主な施設に入所しました。
それが症状が重くなってきてもっと介護が必要となってきてもその施設で受けれるサービスがなく難病に対する理解もなく慣れ親しんだ施設を出るしか選択肢がありませんでした。
途中で施設を変わることはそこで生活を送っている者にとっては大きな環境の変化(リロケーションダメージ)になるため今までできることができなくなってしまうことがあります。
母の場合は、施設を変わった3日目〜1週間でそれまであったADLを失い、寝たきりになりました。
トイレも自立であったのにバルーンカテーテルになってしまいオムツ生活、下着のパンツは不要になりました。
それまで会話ができていたけれど薬の服用が変わったようでウトウトと寝ているばかりで会話をすることもできなくなりました。
食事の量も減ったようでみるみるうちにやせ細りました。
母の状態の大きな変化はほんの1週間の間に起こったこともあって私にとっても大きな変化でありました。
できるだけ状況が変わらず安定的な状態が望ましいのですが、状態が変わるのは必然、その変化は大きな影響をもたらしました。

3.費用のこと

介護の度合いにより費用は大きく変わります。
施設料金も変わります。
入所する施設の提供されるサービスによっても変わります。
例えば洗濯物。
以前は洗濯料金が他のサービスに含まれていたのですが施設を変わったら1ネット1,000円、週2回でした。
そうなれば請求される月額料金は変わります。
細かいことを言えばトイレットペーパーやボックスティッシュ、持ち込み可能な施設か、施設が用意してくれるので持ち込み不可能な施設かにより費用が変わります。
介護度により保険料も変わります。
入所しても病院にかかれば医療費代もかかります。
民間施設から公的施設へ変われば費用は多少抑えられるかもしれませんが、民間施設の場合一人部屋が多く、そこから公的施設へ変わると大部屋だったり同室者がいたりと環境が変わり本人の症状に大きく影響が出ることも考えられます。
介護期間中ずっと同じ費用というわけにはいかないのです。

4.親と関わる時間のこと

介護度が進めば手が必要になるので当然親と関わる時間は増えます。
親と直接関わらなくても親のことで対応する時間が増えます。
施設から困りごとがあれば連絡が来ます。
決定事項は家族に来ます。
施設が変われば当然ながら契約関係の署名を求められます。
病院へかかる場合があれば施設から連れて行かなければなりません。
時間もかかる心も増えていきます。

5.自身の体調のこと

親の介護期間が長くなれば自分も同じ時間が経過しているので老化します。
最初は自分の体力に自信があってもいつまでも変わらないことはありません。
病院へ行くにも最初は軽々と押せた車いすでも、自身の体調に変化があれば車いすもうまく押せなくなります。
自身の老化とともに堪え性がなくなるかもしれず少しのことでイライラとしてしまうかもしれません。
仕事に邁進しもっと忙しくなってストレスフルで余裕がなくなっているかもしれません。

6.介護をされる側の意識のこと

私はこの意識は大きく変わりました。
両親はよく「世話にならないようにする」「迷惑をかけない」と言っていました。
誰しもが最初から自分の子どもたちに面倒を見てもらうつもりや見てもらうのが当然だとは思っていないのかもしれません。
でもそうは言っても、自分のことが自分でできなくなったり、施設に入所して子どもたちに日常の世話をしてもらわなくても、全く子どもたちの手を煩わさないようにできるかといえばそうではありません。
父や母に悪気があって私が介護させられているかといえばそんなことは全くありません。
私が将来介護が必要となる場合を想定し、できるだけ介護を短くできるように運動意識を高める、介護にかかる費用を意識しておく、介護されやすくする方法を模索するなど大きな意識変化がありました。



まとめ

10年もの介護をやってきてわかったのですが、親の介護をしていて直面する「変化」をあらかじめ意識するだけでもリスクマネジメントができると思いました。
母の介護が続いているのでまだまだ「変化」はやってきます。
介護にまつわることはできるだけ毎日一緒の繰り返しで安定していると自分の生活に影響が少なくていいのですが、「変化」を意識しておくことで心構えができ状況の受け入れがスムーズにできるかもしれません。

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